2016.08.25 ICT活用・DX
第15回 可能性を秘めたタブレットの導入
議会事務局実務研究会 林敏之
自治体議員の皆様、こんにちは。今回はICTを活用した議会をテーマとして、主にタブレットの導入についてお届けいたします。この10年の間で多くの議会がインターネットなどを用いた議会中継を開始しており、次なる議会ICT化の一手としてタブレットの導入を考える議会が多くなっています。さて、タブレットを導入することで議会運営は最先端となり得るのでしょうか。
どうしてタブレットの導入が進んでいるの?

ご存じのとおり、近年多くの議会でタブレットの導入が進んでいます。つい10年ほど前までは、ほとんどの議会が議場にパソコンを持ち込むことすら許さなかったことを考えると、感慨深いものがあります。当時議場でパソコンの利用を認めなかった理由として「キーボードの打刻音がうるさい」、「審議に関係のないホームページなどを見るのではないか」、「開会中に議場の外の人とSNSやメールなどでやりとりをするのではないか」などが挙げられていました。パソコンを日常的に使用している議員としては、市政に関する情報がパソコン内にすべて入っているので、持ち込みたいと考えるのは自然なことです。ただ、どこの議会も最終的に持ち込みを認めなかった最も大きな理由は、「パソコンが得意ではない長老議員の反対(あるいは配慮)」ではなかったのかなと思います。
タブレットを導入するに当たり、上記で懸念された状況はほとんど解決されていません。しかし、スマートフォンの爆発的な普及により、タッチパネルを利用した機器の操作が日常的になることで導入に対する心理的なハードルが下がり、結果的に大きな反対意見もなくなってきたことが、各地で導入が進んでいる大きな理由であると考えます。
タブレットを導入したらどうなるの?

議会にタブレットを導入することで、どのような効果を狙っているのでしょうか。最もいわれていることは、定例会ごとに配られる大量の紙の資料を電子データにすることで、印刷コストが削減でき、紙の資料を配付したり差し替えたりする手間(つまり人件費)が劇的に軽減できるという説明です。タブレットの導入には一定のコストがかかるため、自治体の財政当局に対して、導入することにより他のコストが削減できるといった説明がどうしても求められます。本来は「タブレットの活用により市民に有益な議員活動が飛躍的に広がる」ことを主たる理由として説明すべきだと思うのですが。
ほかにも、議会の閉会中に執行部から情報提供を行う場合、それまで議員控室の各議員へのレターケースなどに紙の資料を入れていたのを、議員のタブレットに直接資料を送信することで情報伝達の効率性が上がり、いつでも最新の情報を共有することができるようになります。また、議員が出席する会議や視察などの出欠確認もタブレット上でできるようにするなど、様々な活用法が考えられます。