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2016.08.25 政務活動費

政務活動費の適正使用――「号泣県議」と兵庫県議会の改革

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事務局体制の整備

 従来、政務活動費の事務は、議会事務局の総務課経理班が他の事務と同時に処理していた。条例改正によって、全ての支出について活動報告書の提出を議員に義務付け、事務局への提出書類が増えるため、組織体制を強化する必要が出てきた。そこで、2015年1月1日付で、政務活動費の収支報告書のチェックなどを行う専任部署として「審査室」が新設された。審査室には職員4人が配置され、室長には政務活動費審査の経験のある職員を据え、3人が政務活動費の事務を専担することとなった。このような審査に当たる専担組織は、都道府県議会事務局では初めてではないか。
 なお、「協議会」が設置されたことに伴い、議会事務局に、総務課、議事課、調査課、図書室のほかに、兵庫県議会政務活動費調査等協議会事務局が新設され、そこに審査室が置かれ、政務活動費の審査に関することを担当する審査班と政務活動費の企画調査に関することを担当する企画調査班が置かれることになった。

「政務活動費の手引き」の改訂

 2015年6月には、「政務活動費の手引き」の解釈がまちまちとなるおそれがある事項等について、次の観点から、さらに見直しを図り、所要の改訂を行っている。
 ① 使途の明確化を図るため、領収書の扱いを整理するとともに併せて整備すべき書類を追加。
 ② 2015年3月の手引きの改訂で提出が義務付けられた海外視察調査及び親族等の雇用に係る書類の様式を整備。
 ③ 使途の透明性を高めるため、インターネット公開の書類の範囲を拡大。
 2015年度に議員に支給した政務活動費の収支報告書の公表分から初めて領収書も県議会のホームページで公開している。

 折しも、2016年7月、富山県議会の矢後肇副議長が政務活動費で購入したとする計約450冊の書籍(計約460万円分)について架空請求したことを認めた。県議会事務局に提出した政務活動費の収支報告書に偽造した領収書を添付していた。矢後議員本人によると、架空請求は2010年度頃「将来に金を残しておけないか」と思い始めたが、2014年に野々村竜太郎兵庫県議(当時)の号泣会見を見たのを機にやめたといい、架空請求で得た政務活動費は「口座に残っている」と述べた。矢後県議は7月16日、「県政に対する県民の皆さまの信頼を裏切った」と謝罪し、不正取得した約460万円は「速やかに返したい」と述べ、議員を辞職すると表明した。
 さて、富山県議会は、この不祥事に関し、兵庫県議会の改革の取組から何を学び、どのように対応するであろうか。注目したい。

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