2016.07.25 仕事術
第17回 文章作成のポイント(3)
一般財団法人地域開発研究所 牧瀬稔
今回も、前2回に引き続き、よい視察報告書を作成するための、読みやすい文章の作成ポイントを紹介する。
段落には「意味」と「形式」がある
段落とは「文章群からなる意味を持ったまとまり」と定義できる。読者の多くは、文章を作成する際、段落を意識せず何げなく区切っているかもしれないが、段落には2つの種類がある。それは、①意味段落、②形式段落である。
①意味段落とは、「意味の区切りによって分けられた段落」である。その「意味の区切り」は大きく4つに分けられる(図1)。
一方で②の形式段落とは、「視覚的に区切る段落」のことである。つまり見栄えを意識して段落を設けることになる。
筆者は、原則的に意味段落を使用している。そして様子を見て、形式段落を活用している。筆者が文章を作成するとき、ワードの書式設定はA4用紙で40字×40行としている。筆者は意味段落を基調としつつ、意識的に4〜6行の間隔で段落を設けるようにしている。もちろん、全く意味もなく唐突に段落を設けるのではない。あくまでも意味段落を基本として、様子を見ながら形式段落を活用している(「様子を見ながら」というのは、1つの段落の文章が7行以上にならないように意識している)。
段落の発展形態として、箇条書き、行空け、字空けもある(表1)。これらを適宜、活用することにより、文章にメリハリが出てくる。これらを有効的に使うことで、見栄えがよくなり、読者に「読んでみてもいいかな」という思いを誘引させる。
メリハリをつける手法として、「傍線」「傍点」「網掛け」「斜字体」などがある。また強調する場合は「ゴシック」を使うことも考えられる。これらを効果的に使用していくことでメリハリも出てくるし、見栄えもよくなっていく。ただし、こうした強調をあまりにも多く使いすぎると、何を主張しているのか分からず、逆効果になるため注意が必要である。
数値データは意味も書く
文章に数値データを記述した場合は、その意味も書く必要がある。例えば「1998年の日本の自殺者は約3万2千人であった」と書かれていても読者の理解は深まらない。その理由は、記述している「約3万2千人」という数字が多いのか少ないのかが分からないからである。つまり「約3万2千人」の持つ意味を明記しなくてはいけない。
そこで書き方としては、「1998年の日本の自殺者は史上初めて3万人を超えて約3万2千人になった」とか「1997年の日本の自殺者は約2万4千人であったのに対し、1998年の自殺者は約3万2千人であった」と明記する。このように「約3万2千人」が多いのか少ないのかを比較できる情報も書き込まないといけない。