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2016.06.27 仕事術

第16回 文章作成のポイント(2)

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一般財団法人地域開発研究所 牧瀬稔

 視察後には報告書を作成することになる。報告書は意図や真意が伝わるように書かなくてはいけない。そのためには文章力は必須である。前回に続いて、今回も文章作成の基本的なポイントを紹介したい。今回はより具体的な技法に言及する。

文中の「…が」に注意する

 筆者が文書作成に当たって意識していることは、文中に接続助詞の「…が」という表記を使わないようにということである。この「…が」という一字は、結果として文章を曖昧にしてしまう危険性がある。例えば、次の文章を読んでいただきたい。
 ① 私は元気だが、兄も元気である。
 ② 私は元気だが、姉は元気ではない。
 読者にとって、この2つの文章はそれほど違和感がないと思われる。しかし、この2つの例文の6文字目に登場する接続助詞の「…が」は、文章の意図や真意を曖昧にしてしまう可能性がある。この「…が」の何がいけないかというと、「順接」と「逆接」の両方の意味で使えてしまう点である。上記例文①の「…が」は順接の意味を持っている。一方で例文②の「…が」は逆接の意味を持っている。読者は気づいているだろうか。
 何気なく文章を作成していると、接続助詞の「…が」を多用している文章になってしまう。自治体職員の文章には「…が」が多く登場する傾向があり、筆者は読んでいてうんざりすることも多い(そんな筆者も以前は「…が」を多用していた)。報告書1頁当たり、少しの「…が」は仕方がないと思う。しかし、3回以上「…が」が出てくる文章は改善した方がよいと思う。
 文章に接続助詞の「…が」が多いと、言いたい内容が不明瞭になってしまう傾向がある。そこで明瞭な文章にしていくために、「…が」の持つ順接と逆説の意味は区別していく必要があるだろう。具体的には次の文章に書き換える。
 → ① 私は元気だ。そして、兄も元気である。
 → ② 私は元気だ。しかし、姉は元気ではない。
 例文①の「…が」には順接の意味がある。そこで一度文章を区切り、その後、接続詞の「そして」を用いて表記した方が文意がクリアになる。一方で例文②の「…が」は逆接の接続詞の「しかし」を使用した方がよい。このように「…が」を明確に使い分けることにより、文章の意図や真意が明確になり、読者が理解しやすくなる。
 多くの読者は、きっと接続助詞の「…が」を無意識に多用していると思われる。この「…が」を少しでもなくしていくことで、理解しやすい文章になっていく。なお、文章を作成するときに「『…が』をなくそう」と考えていると、なかなか筆が進まないことがある。そこで筆者の場合は、まずは一気に文章を書いている。その後、書いた文章をプリントアウトして、「…が」だけをチェックして、「そして」や「しかし」に変更している。その方が効率がよいと思う。
 この「…が」に関連して、「…で」や「…(であ)り」や「…(である)し」という使い方にも注意した方がよい。「で」と「り」と「し」も文章を曖昧にしてしまう可能性がある。それぞれの一文字が順接か逆接かを明確にして文章を書いていく必要がある。それが読者に伝わる文章となっていく近道である。

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