2016.06.27 選挙
【フォーカス!】参院選
国と地方の今。明日の議会に直結する、注目の政策をピックアップして解説します。
地方創生は争点外? 消費税、アベノミクスで影薄く
6月22日に参院選が公示されて選挙戦に入り、7月10日に投開票される。安倍晋三政権の3年半の成果をどう評価するかが、最大の争点になるだろう。
具体的には、安倍首相が消費税10%への増税を再延期すると表明した背景にある根本の問題が問われる。つまり「新しい判断」の根拠としたリーマンショック級の経済の不安定さが今あるかどうか、さらに「アベノミクスは本当に成功したのか」だ。
政府の憲法に対する解釈を変更するだけで集団的自衛権の行使を容認した上に、安全保障法制を成立させた安倍政権に対し、憲法改正までを含めたこの国のかたちづくりを任せるのかどうかも、選挙のテーマとしては通奏低音としてある。
自民党内、与党内には「安倍1強」に対する安堵と諦め感が、ないまぜになって広まっている。一方、野党の民進党などに対して安倍首相は、強烈な批判を繰り返すだけで話し合おうとはしない。このため与野党の主張がかみ合わないまま、将来のこの国の在り方について議論を深めることもなく、終盤まで行ってしまいそうな雰囲気だ。
そんな中、全国知事会が6月19日、各党の選挙公約の評価結果を公表した。知事会がまとめた「日本創成の実現に向けた10の提言~格差を是正し、地方総活躍の時代へ」をどれだけ反映しているかをチェックしたものだ。
発表した徳島県知事の飯泉嘉門総合戦略・政権評価特別委員会委員長は「10の提言を5月にまとめて各党を回ったときは、内容を高く評価してもらった。ところが、その後、消費税増税の再延期があってそちらに争点が移ってしまったので、各党の公約にはあまり反映されなかったようだ」と説明する。
飯泉氏は「衆院選の場合は政権選択選挙であるので、点数化して数値で示しているが、参院選は各党の政策を定性的に分析して書き込んでいる」と解説しており、内容はあまり耳目を集めそうにない。
10の提言は、①国と地方が一体となった地方創生の実現~地方創生により、日本創成の礎を構築、②東日本大震災および熊本地震からの復旧・復興と防災・減災対策の推進~被災地の復旧・復興と災害に強い国土づくり、③真の地方分権改革による地方税財源の充実や地方自治の強化~個性あふれ、自立した地方は、日本創成の原動力、④人口減少局面を打開するための次代を担うひとづくり~将来世代が夢と希望を抱ける、脱・人口減少社会に挑戦-などとなっている。
公約の点検結果については、「自民党は評価できるが、子ども医療費助成に係る国民健康保険の国庫負担減額調整措置に触れておらず、対応を注視する」、「公明党は評価できるが、他方、地方一般財源総額の確保など地方分権改革について明記されておらず、注視する」と割に高く評価している。
一方、「民進党は一定の評価はできるが、地方分権改革や社会資本整備などに触れられていない点は評価できない」、「共産党は一定評価できる点もあるが、地方分権改革など地方を巡る諸課題に一切触れられておらず評価できない」などとなっていた。評価の対象はこのほか、おおさか維新の会、社民党、生活の党、日本のこころを大切にする党、新党改革となっている。
飯泉氏は「実際は項目別にみて、評価できる数によって表現ぶりを変えている。与党に対しては7月末に開く全国知事会や、国と地方の協議の場を通じて実現を迫りたい」と記者会見を締めくくった。
▼主な資料
・報道発表資料
http://www.nga.gr.jp/data/activity/committee_pt/committee/hyoka/h28/160619.html