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2016.05.25 仕事術

第15回 文章作成のポイント(1)

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構成は「起承転結」ではなく「転」を除いて「起承結」とする

 文章構成を考えるときに、参考にされるのが「起承転結」である。その意味は、次のとおりである。

起……事実や目的を最初に示して、言い起こす。
承……「起」を受けて話を広げる。
転……話に変化をもたせ、さらに展開する。
結……「だからこうなんだ」という結論を示す。

 視察報告書のようなビジネス文章において、「起承転結」の文章構成をとることに筆者は反対である。その理由は「転」がくせ者だからである。起承転結における「転」には「話に変化をもたせ、さらに展開する」という役割がある。つまり「転」の役割は、別の角度から考察したり、あえて反論したり、大きな観点から論じたりすることにより、話題に変化を持たせようとすることである。しかし別の角度から考察すると、話がそれてしまい、それたまま「結」に行ってしまうことがある。また「あえて反論を持ってくる」と、気がつくとその「反論」が結論になってしまうこともある。大きな観点で変化を持たせると、大きいまま「結」にたどりつかないことも多い(この傾向は、筆者が非常勤講師をしている大学生の論文によく見られる)。このように「転」の存在は危険であり、油断できない(小説の場合は、「起承転結」は必要であると思う)。
 文章を通して伝えたい趣旨を明確にするために、筆者は「転」を無視して「起承結」で文章を進めた方がよいと考えている。すなわち序論・本論・結論である。
 また趣旨をより明確にし、早く伝えたいのならば、結論は最初に持ってきた方がよいとも思っている。つまり「結論先行型」になる。最初に結論を述べ、その後に序論・本論を指摘し、最後に再度結論を提示するのが理解されやすい。特にプレゼンテーションの場合は、結論を先に持ってくるべきである。例えば首長に何かしら報告するときは、最初に結論を言ってしまえば、もし首長に急きょ公務が入り、首長レクが途中で終わっても結論を伝えているため目的は達成している(ちなみに、首長レクとは「首長へのレクチャー」の略である。レクチャーとは「口頭で詳しく説明すること」という意味がある)。
 文章もプレゼンテーションも基本は結論から入った方がよいだろう。

抽象的ではなく具体的に書く

 読者に文章を理解してもらうためには「抽象的ではなく具体的に書く」ことも大事である。この点について「当たり前のことじゃないか」と思う読者もいるだろう。しかし、意外にできていない状況がある。具体的に書くためには、①数値で書く、②例示する、③大分類ではなく小分類で絞る、の3点を意識してほしい。
 まずは「①数値で書く」であるが、例えば「荷物はすごく重たかったため1人では移動できなかった」は、ダメな文章である。この文章の「すごく」の言葉が、読者により捉え方が異なるからである。ある人は5キロを重たいと感じ、別な人は20キロを重たいと捉えているかもしれない。「すごく」は抽象的な表現である。具体的に書くとは「荷物は120キロあったため1人では移動できなかった」と、具体的な重さ「120キロ」を明記することである。数値として書き込めば、読者は明確に理解できるだろう。形容詞は避け、数値で記していくことが文章の具体性につながっていく。
 次に「②例示する」についていうと、この観点からいえるダメな文章は「懇親会ではいろいろと話したため、今後の参考となった」である。この中の「いろいろ」が不明確である。「懇親会では新しい政策立案に関して話したため、今後の参考となった」の方がよいだろう。また、可能ならば、「新しい政策立案」の中身も明記した方がより具体的になり、その結果、読者の理解度が深まることになる。
 最後に「③大分類ではなく小分類で絞る」を紹介する。例えば「私は飲むことが大好きです」と言われて、読者はすぐに理解できるだろうか。読者から「飲むことが好きって言われても何を飲むんだよ」と突っ込まれそうである。実はこの「飲むこと」という表現が大分類であり、抽象的である。そうではなく「私はビールが大好きです」と言われた方が、具体的にイメージができるだろう。このように文章は大分類ではなく小分類で書き込むことが大事である。
 次回は文章作成のポイントについてより具体的な技法を紹介したい。

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