2016.05.25 政務活動費
第12回 生かすも殺すも自分次第? 政務活動費
政務活動費は使わない方がいいの?

前述のように統一の具体的基準がないこともあって、政務活動費を使うことに慎重になる自治体議員も少なくないかと思います。「後でとやかく言われるくらいなら政務活動費は使わず、議員報酬から支出した方がいい。いっそのこと、政務活動費を減らして議員報酬を増やせないか」なんて話さえ出ることも。そんなこともあってか、議会によっては一部の議員が、政務活動費を使っていないことを「清廉潔白」の証しであるかのように掲げていることもあるようです。
果たして、そうでしょうか。政務活動費は、自治体議員の調査研究その他の活動のため、必要な経費とされていますから、使っていなければ、調査研究その他の活動をしていないという解釈もできます。もちろん政務活動費を使う義務はありません。ほかのお金でも調査研究は行えますが、後ろめたい使い方でなければ政務活動費を使っていいと思います。
政務活動費で先進地の施策を調査して議会の質問で取り上げ、結果として執行機関が新しい施策に取り組むことになるといったように、議員としての功績につながることもあれば、不自然な支出を非難されて議員を辞職する羽目になることも。公費である以上、あるから使うのではなく有意義に使わねばなりませんし、一方で神経質になりすぎて自治体議員としての本来の活動に支障を及ぼすこともないようにしたいものです。
タブレット端末やカメラなどの備品を買うのに使ってもいいの?

ここまで「これに使ってもいいの?」という質問には明確に答えられないと書いておきながら、あえてこの質問に答えるのには理由があります。政務活動費の使途といえば、視察の交通費、会派報の作成費、会議や研修の参加費などが挙げられますが、これらとタブレット端末などの備品の購入費が大きく違う点がひとつあるのです。
それは、買ったモノがずっと手元に残ること。交通費や参加費はそのときだけですし、会派報は配ればなくなるのに対し、タブレット端末やカメラは一度買ったら自分の手元に残って使い続けられます。そんな備品を買った議員が、議員を辞めた場合、あるいは会派を変更した場合に問題が生じてくるのです。引退する議員が辞める直前に政務活動費でパソコンを買って、そのまま自宅で私物にしてしまえば、まず問題視されるでしょう。
このため、備品の購入を普通に認めている議会もあれば、慎重な姿勢をとる議会もあります。何人かで構成する会派で共有するために備品を買ったものの、その後に会派が分かれた場合に、その備品は誰のものになるかなど、起こり得る事態を想定して各自治体議会で運用をあらかじめ決めておいた方がよいでしょう。