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2016.04.25 仕事術

第14回 視察報告書作成のポイント

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視察の意義は議会の機能を強化すること

 議員は耳にたこができるほど「議会(議員)の役割」について同じ話を聞かされていると思われる。しかし、再度議会の役割を指摘しておきたい。一般的には、①執行機関への監視機能と、②政策の立案機能が議会に求められている。議会は両機能を強化することで、住民の福祉の増進を達成していくことが目的である(図1)。

図1 議会の役割図1 議会の役割

 つまり視察の意義は、これら執行機関の監視機能と政策の立案機能の強化に資することである。特に政策の立案機能に貢献することにこそ視察の価値があると、筆者は考えている。この政策の立案機能には、議員発議の政策条例をはじめ、執行機関への政策提言なども含まれる。議員が視察をすることにより、得た知見を基に執行機関に要望したり、提示したりすることが求められる。もちろん、議員が個別に自治体職員に伝えるのではなく、基本は議会という公の場において視察の成果を提示していくのである。
 なお、議会に求められるのは、「政策提言」であり、「政策提案」ではないと筆者は考えている。すでに本連載で言及したかもしれないが、政策提言と政策提案の違いを以下簡単に言及する。
 辞書によると、提言は「考え・意見を出すこと」とある。そして提案は「案を提出すること」とある。一見すると提言と提案は同じ意味のようである。しかしニュアンスが微妙に違っている。例えば、シンクタンクが国等に意見を答申する場合は「提言書」であり「提案書」という書き方はほとんど見ない。一方で、自治体へ営業に来たコンサルタント会社が提出する資料は「企画提案」と明記される。決して「企画提言」とは書いていない。つまり、第三者的な立場にあり直接的に関与しない場合は「提言」となる。一方で、自分が関与する場合(自分が関与したい場合)は「提案」となる。
 議会には執行権がない。そのため政策は「提言」になるだろう。ただし「提言だから……」というスタンスで、自らが提示した政策について責任を持たないというのはいけないと思う。繰り返しになるが、議会には執行権がないため法的観点からは政策提言という形になる。しかし心理的には、政策提案の意味を込めて、執行機関に政策を提示してもらいたいと思う。
 また、1回の視察だけの知見で、執行機関に政策提言をするのは心もとない。できればあるテーマの下、複数の視察を実施し、その中から共通項を抽出した方がよい。複数の視察に共通して見られる要素は、それだけ再現性が高いということになる(図2)。こういった共通項は、自分たちが所属している自治体にも移転しやすいということである。視察のひとつの方向性として、具体的事例の積み重ねから一般性を導き出すことがある。こういった観点からも視察は数か所行った方がよいだろう。

図2  複数の成功事例から共通項を見いだす(イメージ)図2 複数の成功事例から共通項を見いだす(イメージ)

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