2016.03.25 仕事術
第13回 視察後は「視察報告書」としてまとめる
●筆者が勧める視察先
数年前になるが、改名プロモーションが流行した。大分県の「おんせん県」や岡山市の「桃太郎市」、丸亀市の「骨付鳥市」など、改名プロモーションを実施する自治体が続いた。その中で成功事例は、香川県の「うどん県」と考えられる。
日経リサーチが発表した「都道府県『ブランド力』ランキング2013」において、香川県は「うどん県」開始(2011年10月)の前年と比較して総合スコアは69ポイント上昇した。その結果、順位も24位から14位へと躍進している。また観光客も「うどん県」を始めてから増加の傾向にある。東日本大震災により観光客が一時的に減少したが、「うどん県」の実施後、震災以前よりも観光客を集めている。ちなみに、香川県は過去に「『高松県』なんて言わないで」と自虐コピーを採用したこともある。
広島県は「おしい!広島県」を展開していた。何が「おしい」のかというと、次の点を挙げていた。
・「日本一のレモンの生産地、シェアは57%」……これは広島県のこと。なのに、知らない人が多い。おしい!
・お好み焼き屋の店舗数は日本一なのに、『広島風』と付いてしまう。……おしい! ・万年Bクラスの広島カープは、いつもおしい!
以上は、広島県「おしい!」である(一部のみ例示)。2013年8月1日をもって「広島県おしい!委員会」は解散した。しかし、2013年8月8日に「やっぱり、おしい!広島県」のキャッチフレーズが発表されている。広島県は、全国有数の観光資源を自虐的に「おしい」と一歩引くことで注目を集めることがねらいである。また「おしい」は「おいしい」の一歩手前だという。
一時期、様々な改名プロモーションがあった。その成果も出始めている。そこで改名プロモーションを実施した成果を視察したらどうだろうか。
●推薦する図書
・円城寺雄介『県庁そろそろクビですか?』小学館新書(2016年)
現役の県職員が執筆したノンフィクションである。県内全ての救急車にipadを配備し、病院とのネットワークを構築し、全国で初めて救急搬送時間短縮に成功した記録である。県職員が配属先で変革をするために、様々な努力をした経過が記されている。
同書を読む視点は多々ある。そのひとつとして「政策形成の過程を理解する」ことも挙げられる。同書における政策づくりの経緯から、様々な知見が得られる。もちろん、その県での出来事が、そのまま他の自治体に移転できるとは思えない。しかし、ある程度は移転の可能性を見いだすことができる。