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2016.03.25 議会事務局

第10回 議会基本条例ってどうやってつくる?

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議会事務局実務研究会 林敏之

 自治体議員の皆様、こんにちは。今回のテーマは、おそらくこの業界で耳にしたことがない人はいないと思われる有名な条例、「議会基本条例」です。平成18年5月に北海道栗山町で初めて誕生した議会基本条例は、わずか10年の間に全国で700を超える議会で制定されており、議会基本条例が自治体議会を席巻し続けているといっても過言ではないでしょう。そこで今回は、その議会基本条例について取り上げていきたいと思います。

議会基本条例ってそもそも何ですか?

男性

 「議会基本条例とは○○である!」といえる定義は、実はありません。また「○○を定めているのが議会基本条例だ」といえるような、定めなければならない内容が決まっているわけでもありません。ある意味とても自由な条例であり、各議会によって意気込みや思いの詰まった条文が見え隠れします。とはいえ、どの議会も栗山町議会や三重県議会などの議会改革の先駆者に少なからず影響を受けており「最高規範性」や「議員間での討議」、「住民に開かれた議会」など、ほとんどの議会基本条例に見られる内容が存在します。ただ、何度も述べるように、定義があるわけではありませんので、いろいろな意味で厳しい条例もあれば、緩いなぁと思える条例もあるのが実情です。

議会基本条例がどうやって制定されたのかプロセスが分からないのですが?

男性

 議会基本条例が誕生してから10年が経過しているため、すでに議会基本条例が制定されている議会に当選した新人議員の方も多いと思います。しかし条例制定前後の議会の議事録を見ても、一体どのようなプロセスで条例案をつくり上げたのかがよく分からないことが多いようです。これはなぜでしょうか。
 議会基本条例の条文を見てみると「議会報告会を行う」、「執行部側の反問(反論)権を認める」、「政務活動費の公開」など、基本的に議員の負担が重くなる内容が盛り込まれています。そのため各議員によって優先すべき事項が異なるため、なかなか議論がまとまりません。そうなると、委員会や本会議以外での立ち話を含めた非公開の話合いが必然的に多くなり、議事録だけを見るとあまり議論することがなく、粛々と条例案が提出されたように見えてしまうのです。
 話合いの過程については「全て公開にすべきだ」という意見と「本音で話し合う必要があるので一部非公開もやむを得ない」という意見との間で紛糾することがあります。ある議会では、「市民に開かれた議会」を基本理念に掲げた議会基本条例の制定プロセスを市民に公開しなかったため、痛烈な批判を浴びました。議会への不信感を打破するひとつの手として、時間をかけて話し合い、やっと議会基本条例を制定したのに、そのことが逆効果になっては元も子もありません。また、議会基本条例は制定過程の中で各議員が理念を共有し、ひとつにまとまらなければ、制定しただけで終わってしまいます。制定におけるプロセスでは、本音を出しやすい雰囲気の中でこれからの議会像を議員間で共有する必要がありますので、議論の過程を全て公開することにこだわる必要はないと思います。

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