2016.02.25 予算・決算
第9回 自治体の来年度を左右する予算審査
修正案や組替え動議をつくるとき、注意した方がよいことは?

予算案のうち議案と見なされるのは、実は、款・項という大きな区分だけですから、修正案も正式には同様に款・項だけとなります。しかし、実際に議論の焦点になるのは、むしろ、ある施策の実施の是非や金額の多寡でしょう。これは、款・項の記載では伝えられないので、より詳細な内訳について説明する資料を添付する必要があります。
また、ある施策を実施したくないから、その予算額を減らして同額を代わりに別の施策の予算に充てる修正などは、一見すると単純ですが、実はそう簡単にいきません。自治体の施策は都道府県や国の補助金などを財源の一部として見込んでいることが多く、ある施策をやめると連動して補助金も入らなくなります。浮いたお金をそのまま別の施策に使えるわけではありません。こんな点に配慮しつつ、執行機関の職員たちが1年かけて組み立ててきた莫大な金額のパズルを、間違いのないように組み立て直すのは自治体議員にとっては至難の業です。
そのほか、前述した首長の予算提出権による制約や、提出される場合の表決の順序など様々に難しい問題があります。事務局職員が優秀だったとしても、たかだか数日で修正案などの対応ができるわけではないことはご理解いただきたいところです。
いかがでしたか? 次回は「議会基本条例」について取り上げます。「議会改革=議会基本条例の制定」と考える自治体議会関係者も多い、議会改革の象徴ともいうべき条例について、今さら聞きにくい疑問点にお答えする予定です。