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2016.02.25 予算・決算

第9回 自治体の来年度を左右する予算審査

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予算を審査する委員会って、どこも同じやり方なの?

女性

 予算を審査する委員会をどんなものにすべきか統一した決まりはありません。代表的なものとしては、一般的な常任委員会とは別に、多めの委員数の委員会を設置する方法があります。この委員会を特別委員会とするか常任委員会とするか、委員を全議員とするか一部の議員とするかは自治体によって違います。また、設置後の審査の方式も、委員全員で審査するものもあれば、委員会の中に分科会を設けて分野別に審査するものもあります。
 いずれにしろ、予算は内容がどんなに多岐にわたるとしても1つの議案であり、理屈としては議案不可分の原則から、これを分割して各常任委員会に付託することはできません。様々な経緯から、分割付託をしている自治体議会もあるようですが、本来の原則には反するものです。質疑をするだけなら、それほど支障はないものの、分割付託した予算を各委員会で採決するときに、ある委員会は可決し、別の委員会は否決するといった問題が起こり得ます。恋人と結婚するか決めるとき、性格はマル、経済力はバツ、容姿は……などといってみたところで、1人の人間を分割できない以上、要は結婚するか・しないか、でしかないのと似たようなものです。分割付託は混乱のもとなので是正した方がよいでしょう。

否決したくないけれど、単純に可決するのも嫌なときはどうする?

男性

 予算案に100%賛成はできないけれど否決するほどではない場合にどうするかというときの方法としては、主に①修正案、②組替え動議、③附帯決議、の3つがあります。
 ①の「修正案」は、予算案の一部だけ直す案を可決する方法です。地方自治法97条2項の規定で首長の予算提出権を侵すことはできないという一定の制約があります。また、ほとんどの自治体議会で予算案は原案可決となっている現在、修正案の可決は首長がメンツをつぶされたと過剰反応することもあるので注意が必要です。
 ②の「組替え動議」は、予算案そのものには手を加えず、「議会の意向を踏まえて予算を組み替えて再提出しろ」と首長に求める動議を可決する方法です。法的拘束力はありませんが、政治的拘束力はあるので、首長が予算案を撤回して組み替えて再提出する可能性が出てきます。ただ、首長が組替え動議を無視すると、議会は、修正案や否決という対決への道を選ぶか、結局は当初案のとおり可決する腰砕けの道を選ぶか、難しい判断を迫られることになるでしょう。
 ③の「附帯決議」は、予算案は可決するけれど、「これだけは強くいわせてもらう」ということを別に決議として可決する方法です。「条件付きの可決」ではないので、組替え動議と同じく法的拘束力はなく、政治的拘束力を期待するしかありません。
 なお、前述の方法では議会内の多数を得られなかったとしても、「少数意見の留保」や「討論での意見表明」で物申すこともできます。

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