2016.01.25 仕事術
第11回 県民のんき度ランキング
どの県民がのんきな性格を有しているか
国民生活基礎調査は、3年ごとの健康票による調査で、国民や県民の健康状態やどんな傷病で通院しているかを調べているが、こころの健康状態についてもK6という尺度を用いた設問で調査している。
図は、この設問の回答結果を、3年次分、県別にグラフにしたものである。図の(注)に記したように、設問の回答は精神的な問題が少ないほど点数が少ない結果となる。ここでは、全体の点数が少ない人の割合、あるいは総合平均点の低さを県別に示した。精神的な問題が少ないほど、こころが平安あるいは健全ということであるが、これを「のんき度」としたのは、厚生労働省の見方ではなく、筆者によるオリジナルな評価である。しかし、この評価は常識から乖離(かいり)してはいないと考えられる。
もちろん、各年の結果には、調査時点までにそれぞれの県民を襲った経済状態の変化や災害など外部的要因の影響も反映されていると考えられるので、県民性の判断には数年次の結果で共通した傾向を読み取らねばならない。
図を見て誰でも気がつくと思うが、のんき度は西高東低の地域構造を持っているといえる。傾向として、東北が最も低いレベルにあり、九州・沖縄が高いレベルにある。特に、沖縄は3年次全てで全国トップののんき度である点が目立っている。地球規模でも日本でも北国気質と南国気質の対比が語られることが多いが、そのとおりのデータになっているといえる。
細かく見ていくと、同じ北方圏に属すとはいえ、北海道は東北と比べるとのんき度が高く、2013年には全国第2位となっているぐらいである。必ずしも気候風土だけが県民性の要因ではないことが分かる。
東北地方の中では2013年に岩手、宮城、福島が全国の中でも最低水準のレベルとなっているので、この年次だけ見ると東日本大震災の影響かとも思われるが、のんき度の値は全体に2010年から上昇しており、2007年、2010年にも岩手と宮城は東北の中ばかりでなく全国の中で最低レベル、福島も2010年にはやはり低いレベルだったので、外的要因というより、むしろもともとの県民性の反映といえそうである。
関東地方では、茨城や群馬、埼玉は水準が各年次で一定していないが、それ以外では、千葉と神奈川が高く東京が低いという傾向が認められる。臨海県のゆとりと首都の気ぜわしさとの対比だとも感じられる。
北陸・甲信地方では、新潟、富山と長野で低く、それ以外で高いという傾向が認められる。富山と石川では、隣県であり県民性が似ていると思われがちであるが、のんき度では富山が低く、石川が高いという対照的な県民性となっている。長野県民は物事を難しく考える傾向がありそうだ。
全体にのんき度が高い九州地方の中では佐賀県民だけは一貫してのんき度が低いようだ。大分県民は2007年、2010年はのんき度が低かったが、2013年には隣県とそれほど変わらない水準となっている。
だから何なんだといってしまえばそれまでであるが、なかなか興味深いデータだと思われる。