2016.01.25 仕事術
第11回 県民のんき度ランキング
アルファ社会科学株式会社主席研究員 本川裕
県民性の分かる公式データ
県民性を話題にするデータが氾濫しているが、信頼できるものは少ない。調査設計が科学的でなく、また調査の対象人数も少ないデータを基にあれこれ論じてみても、とらえどころのないむなしい結果に終わることが多い。
国勢調査や人口動態統計のような全数調査なら、県別であろうと市町村別であろうと信頼できるデータが得られる。ところが、サンプル調査であると人口数の少ない県ではサンプルも少なくなってしまうので、県別集計まで信頼できるデータを得るためにはかなり大規模なサンプル数の調査が必要となる。これは、市町村民が対象の意識調査でも全域のデータであれば千人ほどのサンプルがあればよいところを、域内の各地区別についての確からしいデータを得ようとすると全体で数千人というオーダーのサンプルが必要となるのと同じことである。
表に、県民性の判断に関係がありそうだと思われるデータのうち、調査設計が科学的でサンプル数も多く、県別まで集計されている官庁統計等の統計調査等の一覧を掲げた。
全国で5万世帯以上といったサンプル数がないと信頼に足るデータは得られないと考えられていることが分かる。厚生労働省の国民健康・栄養調査(大規模調査)やNHKの全国県民意識調査はサンプル数がやや少ないが、県別に一定数以上のサンプルで調査し、全国集計するときは県別ウエートで戻すというような工夫を行っている。なお、NHK調査は信頼に足る県民性データとして様々に分析、活用されたが、今や古すぎるので新しい調査実施が求められている。
この中で、比較的サンプル数が多い抽出調査は、就業構造基本調査(5年ごと)と国民生活基礎調査(3年ごとの大規模調査)であり、世帯総数の1%弱に当たる30万~47万世帯を調査している。
就業構造基本調査は、毎月失業率が発表される労働力調査がサンプル数が少ないため、都道府県別の結果が得られないのに対して、5年ごとに都道府県別までの詳細な就業関係のデータを得るために行われている。国民生活基礎調査の大規模調査も、毎年の簡易調査では得られない詳細かつ地域別データを得るために3年ごとに行われている。
国民生活基礎調査の大規模調査は、このように、都道府県別の比較的信頼できる情報を得られる調査であるのに、意外とその結果は活用されていないようである。ここでは、その一例として県民のんき度ランキングのデータを紹介する。