2015.08.25 仕事術
第6回 学校の教師は何の仕事に負担を感じているのか
「通知表の作成」、「生徒の問題行動への対応」、「保護者からの苦情等への対応」が中学校教師の3大負担
図3には、中学教師について、何%の教師が各業務を負担に感じているかを「負担率」と名づけ、各業務の従事率とともに示した。ガイドラインでは、従事している者のうち負担を感じている割合を「負担感率」と呼んでいるのであるが、ここでは、従事率に負担感率を掛け合わせて算出した値、すなわち教師全体のうち負担を感じている割合を「負担率」と名づけたのである。そして、ガイドラインではデータが「児童生徒の指導に関する業務」と「学校の運営に関する業務」に分けて掲載されているのを考慮し、この2つの種別に全業務の値を示している。これで調査結果の全貌が明らかになると思う。
報道とは異なって、「児童・生徒の問題行動への対応」が従事者の負担率はそれほど高くはないものの、93.3%の教師がこれに従事しているため、負担を感じる教師の割合では、「通知表の作成、指導要録の作成」に次いで2番目に高い業務だということが分かる。
負担率の高い順にトップテンの業務を示すと表1のとおりである。「部活動の技術的な指導、各種大会への引率等」は、上の記事のとおり、負担感率はそう高くないものの従事率は9割以上と高いため負担は決して小さいとはいえない。また、「国や教育委員会からの調査やアンケートへの対応」などは一部の教師に負担が強くのしかかっていることから、教師間の業務分担にも配慮が必要なことも示唆されているといえる。
調査実施者の結果報告を早のみ込みしたり、報道機関の記事を鵜呑(うの)みにせず、自分の実感を基にデータをよく確かめて適切な計数処理を行うことが、真理を見極め、本当の課題を抽出するためには重要だといえよう。