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2015.06.25 議会事務局

第1回 新連載スタート!なかなか聞けない議会の不思議に答えます!

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ベテラン議員はトップ当選した議員より偉いのでしょうか?

男性

 選挙での得票数より、その選挙を何回勝ち抜いてきたかという当選回数が重視されるのが議会の慣習です。当選回数のことを「期数」といい、期数の多い“ベテラン議員”は様々な場面で尊重されます。芸能界で、オリコン1位の人気アイドル歌手がベテラン演歌歌手をないがしろにしないのと少し似ています。
 ベテラン議員は議長や委員長などの役職につける可能性が高くなります。「役職につけるのは◯期以上の議員」という暗黙の条件のようなものがあり、新人議員が役職につくことはまずありません。この条件の「◯期以上」が具体的に何期なのかは、個々の議会の議員の構成によって違います。役職の数よりもベテラン議員の数が少なければ、新人議員にも役職につくチャンスが案外早く訪れるかもしれません。
 ところで、委員会には格の違いのようなものがあるのをご存じですか? 一番重視されるのは常任委員会で、中でも企画・総務・建設関係の委員会が格上とみなされ、次が予算特別委員会、決算特別委員会、その他の特別委員会という順になることが多いようです。
 そのほか、期数で扱いが変わるのが会議の席次などで、当然ながらベテラン議員が上座につきます。席札が置かれてない会議などで空いている席を見つけて、「窓側が好き」とか「あの人の隣はイヤ」なんて理由で間違った席に座ると、事務局職員や他の議員から「そこじゃない」とチクリと指摘されたりするので注意が必要です。
 また、開会時間を過ぎて堂々と会議室に入ってきたり、委員長に指名される前から平然と話し始めたりなど、ベテラン議員がやる分にはあまり周囲から文句をいわれないようなことであっても、新人議員がやると「非常識なヤツだ」とひんしゅくを買ってしまうこともあります。サラリーマンの世界でも、新入社員はたとえ東大卒でも誰より早く出勤するのを期待され、宴会では先輩のお酌に回らされるけれど、出世すると例外扱いにしてもらえたりするのと似たようなものだと思うと理解しやすいかもしれません。
 議会では、期数は最も重視され、ベテラン中のベテランである長老議員ともなれば、その影響力は時に議長さえ上回ります。一方、選挙の得票数の多さで優遇されることはないため、トップ当選を果たした新人議員が偉そうにすると、たちまち痛い目を見ることになってしまいます。逆に新人議員として謙虚な振る舞いをしていれば、一見コワモテの長老議員が誰より心強い味方になってくれたりします。

大きな会派に入っていないと損なのでしょうか?

男性

 まず、会派について説明しましょう。会派とは、“議会の中で似た考えの議員が集まってつくるグループ”です。政党とほぼ同じ名前の会派もあれば、政党としては存在しない会派もあります。広い意味では議員2人以上がグループをつくれば「会派」といえますが、よく使われる意味では、議会内で大事な話合いをする非公式な会議の正式メンバーになれるグループを「会派」と呼んでいることが多いようです。何人以上の議員がいれば「会派」として認めるかは、それぞれの議会によってまちまちです。
 さてご質問に戻りますと、会派に入っていないと、希望する委員会に入りにくくなります。議員の皆さんはそれぞれ得意分野の委員会に入りたいでしょうが、なかなか希望どおりにはいきません。小学校などで○○委員を決めるときと同じで、ひとつの委員に「ボク、やりたい」、「ワタシも」と人気が集中することがあるからです。そこで普通は、会派の人数比と委員会内の各会派の委員の人数比がほぼ一致するように割り振ります。つまり、全議員の3割を最大会派が占めていれば、まず各委員会の委員数の3割ずつが最大会派に割り振られるわけです。そうやって各会派に割り振られた後の残りの枠が、会派に入ってない議員に回ってきます。
 また、大きな会派には議会の役職なども優先して配分されますし、控室の面積も広くなります。本会議や委員会での発言順序も先になることが多いようです。会議の席は上座に近い側にまとめられるので、ベテラン議員でも小さな会派であれば席次は後になったりします。ただ、会派ごとに座るのは、序列の問題よりも採決の際にどの会派が立ったか分かりやすくするというのが主な理由です。
 さらに、議員としての活動に非常に影響するのが、大きな会派に入っていれば仲間の議員が多くて情報が入りやすく、議会での発言力も増すことから、総じて首長からの対応が丁寧になる傾向があることでしょう。そのため、当初は会派に入っていなかった議員が、任期の途中から大きな会派に入ったりすることがあります。
 これまで会派に入ることのメリットばかり書いてきましたが、他方、会派に入っていると様々な対応を会派として行うことになるので、自分ひとりの考えでは発言や行動がしにくくなるデメリットもあるようです。無理矢理例えるなら、ポール・マッカートニーやジョン・レノンが、ビートルズとして4人でバンドを組んでいるのが得かソロでやっていくのが得かといったことかもしれません。実際に全国の自治体を見てみると、一人会派で活躍している議員も多くいらっしゃいます。

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