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2015.06.25 仕事術

第4回 視察のための事前準備~依頼文や手土産などをどうするか~

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手土産をどうするか

 筆者が視察に行く際には、視察先に対して手土産を持参するようにしている。視察を受け入れるに当たり、視察先は資料の用意や質問事項への回答書の作成等、事前の準備のため貴重な時間を割くことになる。そのことへの感謝の思いも込めて、筆者は手土産を持参している。金額は3,000円前後で探している。また筆者は図書を出版しているため、その図書も手土産として持参している。議会議員や自治体職員が視察に行く場合は、自らの地域の特産品であったり、議会や自治体で作成した報告書を手土産として持参することも一案であろう。
 余談であるが、筆者が視察に行くときには、視察先にあるホテルに泊まったり、視察先の地域で食事をしたりして、積極的にお金を落とすようにしている(議員や職員を対象とした研修や講演でも、積極的にその地域にお金を落とすようにしている)。こういうことも重要であるように思っている。
 過去、筆者は多くの視察を実施してきた。その経験の中で、持参した手土産を断られたことは10回もない。1桁である。手土産を持参し、視察先が「受け取らない(受け取れない)」と断ってきたら無理に渡す必要はなく、そのまま持ち帰ってくればよい。職員倫理条例や規則において「贈与等の禁止」を明記している自治体は、手土産も贈与と捉えることが少なくない。そのため条例や規則に照らして「受け取らない(受け取れない)」としていることがある。

日常生活そのものがPDCAサイクル

 本連載の前回、PDCAサイクルを難しく捉えている読者がいることに気がついた。しかし、PDCAサイクルは決して難しいことではない(前掲図参照)。日常生活の中で無意識のうちに実施していることなのである。「らくらく視察力アップ講座」とは直接的に関係がないが、再度、記しておきたい(本連載にPDCAサイクルは間接的には関係がある)。
 例えば、読者がある女性に告白しようとする。その場合は、いつ、どのような状況で告白するのが望ましいか、いろいろと「①計画」するだろう。しっかりと計画したのならば、告白の成功を夢見て、あとは実行あるのみである。
 ある日、意中の彼女が勤務時間を終え、会社の帰り道でサプライズ効果を狙い、突然目の前に立ち口頭で告白したが、玉砕に終わったとする。ここまでが「②実行」である。確かに玉砕に終わったことはとても悲しく、自分が全否定された気持ちになってしまう。しかし、それでも人生は続いていく。そこで、気持ちを立て直して失敗した理由を冷静に「③評価」することが大切である。
 冷静になって評価すると、突然、帰り際に彼女の行く手を塞いで告白したことや、口頭による大声での告白がいけなかったと判断したのならば、自らの行動を「④改善」し、次の告白につなげていくという流れである。
 そして「④改善」が「①計画」にフィードバックされていく。前回の告白の失敗を教訓として捉え、今度はメールを活用した告白にしようかと試行錯誤することが「①計画」になる。このPDCAサイクルを何度も繰り返すことにより、最終的に告白は実を結ぶかもしれない(しかし、度が過ぎるとストーカーと間違われてしまう可能性もあるため注意が必要である)。このようにPDCAサイクルとは、私たちが普段、何げなくしていることである(この説明でPDCAが身近に感じられたであろうか?)。

視察のための事前準備のポイント
(1)依頼文は必ず用意する。視察を実施する前に視察先に送付する。
(2)依頼文を作成する前に、視察先と連絡をとり、日時や視察者などの基本的事項を決める。
(3)手土産は持参した方がよい。受け取らない場合は、無理に渡さず、そのまま持ち帰ってくる。

●筆者が勧める視察先
 近年は「観光」が注目を集めている。観光振興も自治体政策の重要な柱となりつつある。ところで、筆者がよく耳にするのは「NHK大河ドラマやNHK連続テレビ小説で放送されると観光により地域が潤う」や「NHKのど自慢で放送されると観光客が増える」という話である。本当だろうか。特にNHK大河ドラマとして放送された地域は、持続的に観光振興が続いているのだろうか。
 ・利家とまつ〜加賀百万石物語〜(2002年)
 ・篤姫(2008年)
 ・龍馬伝(2010年)
 「利家とまつ」は石川県が舞台である。「篤姫」は鹿児島県であり、「龍馬伝」は高知県が舞台となっている。次の流れで政策研究をしてみるとよい。それは、①NHK大河ドラマが放送された年を基準として、前後5年間の②観光客推移、③事業所の倒産件数の推移、④事業所の従業員数(雇用者数)の推移、⑤自治体の税収の推移、などを集めて考察すると様々な発見がある。それを基に視察に行き、現場の声を聞くと、さらに大きな発見があるだろう。

●推薦する図書
 筆者が執筆した図書で恐縮であるが、推薦しておきたい。
 ・牧瀬稔=戸田市政策研究所『政策開発の手法と実践』東京法令出版(2008年)
 視察に使える政策研究の視点が明記されている。また戸田市の先進的な取組も言及されている。戸田市は数多くの視察を受けている。戸田市が設置した「戸田市政策研究所」にも視察が相次いでいる。しかし視察の中には、上記の図書に書いてあることを聞きにくる場合も少なくない。戸田市に限らず、自治体に視察に行くときは、当該自治体の文献等の資料をしっかり読み込んだ上で視察に行くべきである。

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