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2015.06.25 仕事術

第4回 視察のための事前準備~依頼文や手土産などをどうするか~

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依頼文をどうするか

 まずは「依頼文をどうするか」という質問がある。その解答は「絶対必要」になる。筆者はこれまで様々なインタビュー調査を受け入れている(インタビュー調査は、ある意味、視察のようなものである)。事前に依頼文の送付がなく、突然インタビュー調査に来たのは、過去数件だけである。しかし、むしろ数件「も」、事前のアポイントなしで筆者にインタビュー調査に来ている行為に驚がくしてしまう。
 ある日の幸せな昼下がり、突然、筆者の職場に電話があり「今からインタビュー調査に行ってもいいですか?」と依頼される。そんなことが、1年に1回程度の割合で起こる。筆者が「そんなの無理だ!」と拒絶してしまうと、ネット社会の昨今、どのような誹謗(ひぼう)中傷をされるか分からないため、突然に連絡をくれた依頼者と相談の上、できるだけ希望に沿った内容で受け入れるようにしている。しかし社会人としては、あるまじき行動である。
 依頼文は絶対に作成した方がよい。依頼文という形で「紙」として残すことにより『約束した』や『約束していない』という言った言わないの水掛け論にならない。また筆者の個人的な印象になるが、依頼文の依頼者名横に「公印略」という表記ではなく、しっかり公印が押されていた方がよいような気がする。公印があると、インタビュー調査(視察)に重みが感じられる。少なくとも筆者は「しっかりと事前準備をして対応しなくては失礼に当たる」という意識になる。
 依頼文を送ってマイナスということはない。だから視察に当たって依頼文は必ず視察先に送付した方がよいだろう。依頼文の書き方については、下記サンプルを参照してほしい。
 なお、いきなり依頼文を勝手に送るのではなく、事前に依頼先と視察について打合せを行う必要がある。事前に依頼先と視察の日時や視察者等を電話やメール等で打合せをして、視察の内容がおおよそ決まった後で、正式に依頼文を送ることが重要である(事前の視察に向けた調整で断られることもある)。

依頼文サンプル依頼文サンプル

ポイント1 宛名について
 宛先を誰にするかをしっかり先方に確認する。悪い事例として、弊所の前理事長は「桂一」という名前であったが、たまに「圭一」で届くことがあった(そのつど修正をお願いしていた)。筆者の場合は、依頼文で間違われたことはない。しかし、講演等で紹介されるときに、しばしば「牧野」や「牧田」と間違われることがある。そのときは、講演の冒頭で「牧です」と「瀬」を強調すると嫌みに捉えられてしまう可能性があるため、「ただ今ご紹介いただきました牧野でございます」と牧野になりきって講演することもある(ただし「野」を小さく言うようにしている)。

ポイント2 依頼文書について
 依頼文書は、大きく次の3カテゴリーから成立している。①最初に所属する組織の概要を簡単に書き、②次の「さて」以降は、視察に伺うことになった経緯を記し、③最後の「つきましては」以降で、視察の依頼を言及する。
 なお、いきなり依頼文を送るのはよくない。原則として、事前に依頼先とやりとりを行うのが通常である(今まで、筆者は一方的に視察のための依頼文を送りつけたことはない)。依頼先と日時や視察者等の内容がだいたい決まった後で、依頼文を送ることになる。

ポイント3 視察に関する基本的事項について
 次の4点は、「記」以下に明記しておく。①視察日時、②視察者名、③視察項目、④連絡先、である。②の視察者が多い場合は「別添の資料1をご覧ください」と明記し、別添として視察者名簿を付けることにする。また、③の視察項目は、依頼文には漠然とした内容を明記し、後日、具体的な質問事項を送った方がよいだろう。
 ⑤として謝礼を明記することがある。この謝礼の有無についても、事前に依頼先とやりとりをして決めておく。自治体への視察の場合は、謝礼を受け取らないことが多い。ただし、最近は、視察のときに配付する資料代として数千円を徴収するところもある。こういう事例は、もっと増えてもよいと思う。
 筆者はインタビュー調査を受け入れることが多い。謝礼について言及すると、例えば10回インタビュー調査の依頼があるとして、謝礼について問合せがあるのは1回くらいである。筆者はインタビュー調査を受け入れて、謝礼をいただこうとは思っていない。しかし、インタビュー調査(あるいは視察)を実施する主体が「謝礼などしなくてよいだろう」という意識を持っているのならば改めた方がよいと思う。筆者の場合は、インタビュー調査の質問事項を事前にいただき、その質問事項について回答としてまとめている。筆者の回答はA4判用紙で3~5枚程度に加え、様々な資料を用意している。その準備にかかる労力や時間に加え、インタビュー調査の間も時間が費やされている。厳密にいうと、この時間に筆者の人件費(時間給)が発生しているはずである。「その対価を払え」とはいわないが、費用が発生していることを知ってほしい。
 もし、読者がインタビュー調査や視察は「無料」という意識を持っているのならば、それについては考えを改めた方がよいだろう。

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