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2015.05.25 仕事術

第3回 雇用は「東高西低」、出生率は「西高東低」~雇用と出生率から見た都道府県ランキング~

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アルファ社会科学株式会社主席研究員 本川裕

雇用情勢、東北で大きな改善、九州では改善が小幅

 都道府県の指標のうち重要なのは、雇用情勢では失業率、将来展望では出生率である。この2指標の近年の特徴をランキング・データで見てみよう。なお、掲載したランキング表では東日本の代表として東北諸県をブルー、西日本の代表として九州諸県をピンクで表している。
 失業率のランキング(表1)は、沖縄が全国都道府県の中でワーストワンを続けていることは知られている。大阪が沖縄に次ぐ第2位の座を占め続けていたが、近年は、青森や福岡が大阪を上回る年も増えていた(2014年には大阪が再度2位となっている)。
 リーマンショックによる世界経済危機の影響で失業率が最近のピークを記した2009年と最近とをワーストテンで比較すると、青森が4位に低下し、その他東北県をはじめ多くの県がワーストテンから消えており、その代わりに、以前は福岡1県だった九州が、最近では4県がワーストテンに入っている。すなわち、東北と九州の逆転が起こっている。
 失業率の改善幅の上位、下位10位を見てみても、改善幅のベストテンには東北5県が入っており、改善幅の小さなワーストテンのうち6県は九州の諸県である。
 このように雇用情勢は西と東で対照的となっている。東北の改善幅が大きいのは、2011年の東日本大震災からの復興需要が大きく影響していると考えられるが、九州の改善幅が小さいのはなぜだろうか。理由としては、シリコンアイランドの不調が挙げられるかもしれない。

出生率の点からは、明るい西日本、陰のある東日本

 足元の経済情勢は失業率である程度測れるが、地域の将来展望としては、労働力が確保されるかという点に大きな影響を及ぼす出生率を見なければならない。出生率は、ここでは、女性の年齢別の出生率の合計、すなわち、女性が一生の間に何人子どもを産むかという合計特殊出生率で見てみよう(表2)。
 出生率のトップが沖縄であり、最低が東京である点は、長く変わらないランキング上の特徴である。
 最近の変化として目立っているのは、何といっても、西日本の上昇(あるいは回復)、及び東日本の回復の遅れである。

表1 都道府県別失業率ランキング(ブルーは東北、ピンクは九州)表1 都道府県別失業率ランキング(ブルーは東北、ピンクは九州)

 戦前、日本の出生率は東日本が高く西日本が低かった。沖縄も都道府県の中で最も出生率が低い県であった。ところが、戦後は、全般的な出生率の低下の中で、東日本の方が西日本よりやや低下幅が大きく、徐々に西高東低の構造が形成された。そして、全国的には2005年から出生率の回復が始まったのだが、最近になって、いよいよ西高東低の傾向が強まっているのである。
 こうした動きは、まだあまり注目されておらず、その理由についての議論が深まらないのは残念である。理由が分かれば、少子化対策や地方創生戦略にも大きなヒントとなるはずだからである。
 もちろん、東西日本、県別といった区分の中で、必ずしも市町村自治体が同じ動きをたどっているとは限らない点には留意が必要である。最後に、この点が理解できるように、全国の人口30万人以上の都市自治体を例に挙げて、2005年から2010年にかけての合計特殊出生率の上昇幅を図示した(図)。各都市は自治体コード順に北から南、東から西に並べられているが、各自治体が一定の変動幅を伴いながら「西高東低」の傾向が表れていることがはっきり分かると思う。出生率の回復が遅い地域は、回復の著しい地域から学べることもあるのではないかと考えられる。

表2 都道府県別出生率ランキング(ブルーは東北、ピンクは九州)表2 都道府県別出生率ランキング(ブルーは東北、ピンクは九州)

図 全国都市自治体における合計特殊出生率の上昇幅(2005年~2010年)図 全国都市自治体における合計特殊出生率の上昇幅(2005年~2010年)

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