2015.03.23 仕事術
第1回 あなどれない地方の経済力

なお、以上は、2010年のデータであり、海外の経済規模は同年の為替レートで換算した数字を使っている。2010年当時は円高だったので、円安となった現在では、海外のGDPの評価は上がっている。したがって、同等経済規模の国も、当然、現在は変化している。
また、各地域、各国ともに景気変動の影響を受けている点も見逃せない。例えば、自動車産業の中心地である豊田市の市内総生産は、2007年度には4.7兆円のピークを記録したものの、その後、リーマンショックの影響などにより大きく減少し、2010年度には2.6兆円にまで落ち込んだ。ピーク時であれば、豊田市の経済力は、ルクセンブルクかベラルーシ並みだったはずである。
こうした点に注意して、データを評価し、使用する必要があるといえよう。
主張したいことの裏づけとなり、説得力を増すということから統計データは非常に重要な存在となっているが、私は、統計データの本当の魅力は、思いがけない社会の真実をデータ自らが明らかにする点にあると考えている。データが語っていることに素直に耳を傾けることが大事なのではないだろうか。「データは語る」と題した本コーナーでは、興味深い統計データを読者の皆さんに紹介しながら、データの読み取り方に加え、データの収集、加工の方法、効果のあるプレゼンテーションなどのヒントについても触れていきたいと考えている。それでは、今後、よろしくお願いいたします。