2015.03.23 仕事術
第1回 あなどれない地方の経済力
都道府県や市町村の経済力を示す指標としては、国内総生産(GDP)に倣って、毎年、地域別に計算されている域内総生産額が使われることが多い。都道府県が自県経済について計算している数値が、全都道府県について公表されているほか、多くの都道府県では、「市町村民所得」あるいは「市町村民経済計算」という名称で、域内市町村についてもデータが公表されている。
図に掲げたのは、愛知県の市町村の市町村内総生産と国際通貨基金(IMF)が発表している国別のGDPのデータから、各市町村の経済規模が、世界のどの国とほぼ同等かを示した地図グラフと、そのもとになったデータを示した棒グラフである。
愛知県の中で最も経済規模の大きいのは、名古屋市の11.6兆円であるが、これは、ほぼハンガリーのGDPに匹敵している。最も経済規模の小さいのは、豊根村の29億円であるが、これは、ほぼ太平洋の立憲君主国であるツバルのGDPに匹敵している。
このほか、経済規模の高い順に、目立った対応の例を挙げると、
豊田市 パナマ
一宮市 カンボジア
東海市 ラオス
稲沢市 モンゴル
知立市 サンマリノ
東浦町 ブータン
阿久比町 バヌアツ
南知多町 サモア
などである。経済力的には、こうした国の大統領が日本の市町村長、国会議員が市町村議会議員に当たると考えると興味が尽きない。 また、こうした市町村が同等経済規模の国と友好を深め、さらに場合によっては市民交流や災害協力などを進めるというのも地域振興策のひとつのアイデアかも知れない。
愛知県全体の県内総生産は31.6兆円であり、これはほぼ南アフリカのGDPに匹敵している。都道府県の経済規模と同等な国の対応は、一昨年刊行した『統計データが語る 日本人の大きな誤解』(日本経済新聞社)や私が主宰している「社会実情データ図録」サイトの図録4550に掲載しているので、興味のある方はご覧いただきたい。
図1 愛知県の市町村と経済規模が同等な国(2010年)