2015.01.10 選挙
【選挙プランナーのサクセス情報】解散を仕掛けたタイミングが成功し、自民党は選挙史上に残る快挙に
盛り上がりに欠けたネット選挙
ネット選挙解禁後初の衆院選(2013年の参院選以来、2度目の国政選挙)となった今回だが、期待に反して盛り上がりに欠けた。これは各候補者陣営ともにネット対応どころではなかったのが実情だ。
そして、昨今のネット選挙事情から、ポジティブキャンペーンより、候補者の落選を意図したネガティブキャンペーンが盛んに行われるのではないかと見ていたものの、完全な肩透かしで、全般的に低調に終わった。2013年参院選の際には宮城選挙区や東京選挙区でネガティブキャンペーンが注目を浴びたが、今回の総選挙ではそうした注目選挙も一切なかった。
ネット選挙の話題となったものを強いて挙げるとすれば、ひとつは「10歳の中村」を名乗るユーザがつくった衆院解散の是非を問うサイト「どうして解散するんですか?」がある。インターネット上で注目を浴び、「とても小学4年生がつくったとは思えない」と炎上し、安倍首相も自身のFacebookで「批判されにくい子どもになりすます最も卑劣な行為」と批判し話題となったが、これはネット選挙の問題というよりも、ネットのマナー、ルールに反した次元の行為といえる。
もうひとつ話題となったのは、日本未来ネットワークという団体が行った、選挙で投票したい人がいない意思表示として白票を投じようという「黙っていないでNO!と言おう」というサイトだ。団体名はあるものの、どういった人たちが行っている団体なのか一切分からないミステリアスなサイトだ。少なくともどこかの政党を裏で支援しているはずと勘ぐってみたものの、その片鱗も見られない。「言論の自由」といえばそれまでだが、白票の投票を呼びかけるサイトというのは世界でも例がないのではないだろうか。
さて、そうしたものとは異なり、シダックスの志太勤氏が主宰する「一般財団法人希望日本投票者の会」が3年前から行っている運動がある。これは東日本大震災後の2011年6月、日本の現状と将来に危機感を抱いた志太勤代表の提唱で始まったもので、国民・投票者側が国民の目線で国のあるべき姿、希望、課題を提示し、それに賛同する政治家・議員をネット上で応援していくというもので、今回も公示前からFacebookで推薦議員を応援していた。その効果や検証は難しいものの、選挙のネット支援の今後の動向に注目したい。
選挙違反は大幅減少
「コンプライアンス」について、報道によると、買収容疑や詐偽投票容疑などの違反容疑については2年前の衆院選と比べて約40事件、約150人少なく、文書掲示違反などの警告は1,450件で、45.2%(1,195件)減、ネットを利用した違反(公示前の投票依頼)への警告も22件少ない8件と、短期決戦となったため、選挙違反も前回より大幅に少なくなったものと思われる。
大切なことは、どんなスポーツにもルールがあり、選手はそれを守る義務があるように、候補者や陣営は少しでも不明な点があったら当該の選挙管理委員会に問い合わせ、公選法上の確認をすることだ。懇切丁寧に教えてくれる。
戦後最低、投票率52.66%
今回の衆院選の投票率(小選挙区)は52.66%で、前回衆院選の59.32%を6.66ポイント下回り、戦後最低を更新した。昨今、選挙のたびごとに若年層の低投票率が話題になるが、この解決は簡単ではない。投票率向上のために、期日前投票所をスーパーやショッピングセンターに設けるなど、新たな試みが盛んに行われるようになってきてはいるが、私は通勤の途上の主要駅(エキナカ)や高速道路のサービスエリア等で期日前投票ができるようにするなど、もっと有権者に便利な目線で投票所を設置すれば多少なりとも投票率の改善が期待できるものと確信する。また、近未来、選挙区ごとに候補者を比較検討できる公正中立なサイトができればより便利かもしれない。