2015.01.10 選挙
【選挙プランナーのサクセス情報】解散を仕掛けたタイミングが成功し、自民党は選挙史上に残る快挙に
2014年末行われた第47回衆議院議員総選挙は自民党の圧勝に終わった。公明党も議席を伸ばし、与党は自民党が291議席、公明党が35議席の計326議席を獲得し、定数3分の2(317議席)を大幅に上回り、安倍政権は"超安定長期政権"となりうる結果となった。
奇襲解散で自民大勝、共産大躍進
与党が大勝した要因のひとつに、"奇襲"ともいえる突然の解散劇が挙げられる。通常、奇襲というのは、劣勢側(少数)が優勢側(多勢)に仕掛ける例が歴史的にも大半だが、今回の解散劇は、多勢(自民・公明)が少数(野党)に突然の奇襲を仕掛けた異例のケースといえる。
候補者擁立等、全くといっていいほど準備が整っていない野党側は慌てふためき、公示ギリギリまで政党間で調整を行う事態となった。結果は野党第一党の民主党は議席数を公示前より11議席増やしたものの、これは与党から奪った議席ではなく、他の野党の議席減により増えたものだ。また、党代表の海江田万里氏や菅直人元首相の落選(菅氏は比例で復活当選)等、党幹部も苦戦を強いられ、惨敗といっても過言ではない負けっぷりだった。
維新の党は、公示直前の橋下徹共同代表(大阪市長)、松井一郎幹事長(大阪府知事)両氏が衆院選出馬をぶち上げたものの、結局は見送ったため、"サプライズ効果"はないと見られたが、何とか1議席減の41議席を獲得したのはうまく嵐をすり抜けたといえる。
公示直前に解党となったみんなの党。元代表で無所属として出馬した渡辺喜美氏は、今回地元に張りつき必死の活動を行ったものの落選。渡辺氏と袂を分かった江田憲司氏(維新の党共同代表)、浅尾慶一郎氏(無所属)は当選したものの、元同党のメンバーの多くが議席を失った。
次世代の党は、党の顔である平沼赳夫氏、園田博之氏は当選したが、山田宏幹事長以下、有力メンバーが落選し、公示前の19議席から2議席となった。
社民党は公示前と同数の2議席を確保したものの、もはや野党の中核をなす存在ではなくなった。
そうした中で、ひとり気を吐いたのが共産党だ。公示前の8議席から13議席も増やし21議席を獲得し、"確かな野党"としてのポジショニングを確保した。"自民党にも民主党にも入れたくない"という票の受皿として今回の大幅議席増があったものと思われる。
安倍総理の解散を仕掛けたタイミングは、「戦略」としては成功で、自民党にとっては選挙史上に残る快挙だったといえる。
注目の候補者は
まず、今回の選挙で注目されたのは、小渕優子元経産相(群馬5区)、西川公也農水相(栃木2区)、松島みどり元法相(東京14区)等のスキャンダル報道された大臣経験者が挙げられる。当初、小渕氏以外は接戦という事前分析はあったものの、小渕・松島両氏は小選挙区で勝ち抜き、西川氏は比例での復活当選と、全員当選を果たした。
次に、苦戦が伝えられていた大物議員として、生活の党の小沢一郎代表(岩手4区)、無所属の亀井静香氏(広島6区)、民主党の海江田万里代表(東京1区)、菅直人元代表(東京18区)、次世代の党の平沼赳夫党首(岡山3区)については、小沢、亀井、平沼の3氏は小選挙区での当選を果たし、菅氏は何とか最後の475議席目の当選者として滑り込んだものの、海江田氏は議席を失い、党代表も辞任した。
また、11月に県知事選が行われ、注目の選挙区となった沖縄県では、1区で共産党前職の赤嶺政賢氏が党として18年ぶりに沖縄1区で議席を獲得、2区では社民党前職の照屋寛徳氏、3区では生活の党前職の玉城デニー氏、4区でも無所属新人の仲里利信氏らがそれぞれ自民党の前職を破るなど、ここでは野党側に勢いが見られた。