2015.01.10 選挙
調査分析 地方議会は有権者にどう見られているのか(下)
マニフェスト政治が有権者に残したもの
Q5では、必要な「マニフェスト(公約)の中身」を調査した。まず、そもそも「マニフェストを出すこと」については、「必要だ」と「どちらかというとあるといい」を足した約7割が「必要」と回答、多くの有権者は「マニフェスト」を是としている。ここでも「政策」を求める有権者の意識が表れている。
次に、求めるマニフェストの項目は、「将来のビジョン(目標)」、「実現したい政策」が約8割と大多数。さらに「政策を実現するための予算根拠」、「政策を実現するための工程表」、「政策の優先順位付け」の順位が高い。逆に「キャッチコピー」が必要という声は少なかった。
2009年民主党による政権交代後、2012年自民党の政権復活でマニフェスト政治は失敗したといわれる。しかし、注意したいのは、政策とその実現性は有権者に強く意識されるようになったということだ。言葉だけのキャッチコピーではなく、候補者個人の実現したい将来像や政策を提示し、どのように実現していくのか伝えることが求められている。
有権者は選挙公報で候補者を比較、投票先を決める
選挙に際し、有権者に政策と実現性を伝えることが重要だと分かった。では、どのように伝えていけばいいのか。Q8では、「投票先を決める際に参考にするメディア・情報ツール」を聞いたところ、最も多かったのは「選挙広報」27.4%だった。「選挙チラシ」17.5%、「選挙ポスター(掲示場)」11.7%、「街宣車・街頭演説」11.1%など、既存の運動手法も順当に上位10項目に入った。「テレビ報道」、「新聞報道」、「政見放送」が2割前後と上位を占めたが、地方選挙ではあまり機会がないかもしれない。
注目すべき点の1つ目は、「候補者のホームページ」、「その他ネットメディア」に1割近い回答が集まったことだ。インターネット調査であることを割り引く必要はあるが、少なくとも「ミニ集会、住民集会」、「選挙事務所や支持者からの電話」よりは可能性があるといえる。次の統一選が、ネット選挙解禁後の大きな転換点となることは想像に難くない。
2つ目は、選挙公報やテレビ・新聞、その他ネットメディアなど、「第三者媒体」が好まれるということだ。これは政策を比較したいという有権者意識とも合致する。特に選挙公報は、候補者側としても有権者側としても重要だ。もし読者の選挙区で選挙公報が未発行であるなら、発行に向けた動きを求めたい。