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2015.01.10 広報広聴

第18回 読んでもらえる「議会だより」をどうつくるか

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■お悩み(悩みの種さん 議会事務局職員30代)
 「議会だより」担当の議会事務局職員です。「議会だより」の市民の評判が芳しくありません。「魅力ある議会だより」にするべく努力していますが、記事や予算の面でいろいろ制約があり、難しさを感じています。「魅力ある議会だより」を実現するために、議会事務局はどんな形で作業にコミットするべきなのでしょうか?

皆さんも一緒に考えてみましょう!

回答案
A 事務局ができる改革は限られている。実質的な編集を議員に預けることからスタートすべきである。
B 事務局職員が中心となって「魅せる広報」についての勉強を重ね、記事の見せ方やレイアウトなどについて議員に的確なアドバイスを
すべきである。
C 「議会だより」は今や速報性の点で問題がある。改善を図るより廃止すべきである。

お悩みへのアプローチ

 「記事や予算の面でのいろいろな制約」。悩みの種さんの悩みがこの短い言葉にかいま見られます。「カラーにしたい」、「ページ数を増やしたい」、「我が市のゆるキャラが議長と対談するなんてどうですか?」、そんな提案はことごとく上司に却下され、でき上がってみれば、いつもと同じ紙面割り。写真のコマ数まで前回と同じです。そんな議会だよりを前にして、悩みの種さんは今日もつぶやくのでした。「ああ、魅力ある議会だよりをつくりたいなぁ…」と。
 さらに詳しく聞いてみると、悩みの種さんの議会では、議会だよりは議会内の任意組織である広報広聴委員会がつくっているそうです。正確にいえば「つくっていることになっている」といった方がいいでしょうか。というのは、議会だよりの半分は一般質問のページです。一般質問をした議員がそれぞれ取り上げてほしい部分を議会事務局に示して、その部分を悩みの種さんが会議録から拾い上げて掲載します。残り半分は、処理した決議、議案、請願・陳情などの記事です。広報広聴委員会が実際にするのは、議会だよりをつくる際の主な紙面割りや大きな見出しの文言をチェックするだけなのです。チェックするといっても、毎回が定例会の報告書のようなものですから、紙面割りも同じなら、「市政のここが聞きたい」といった大見出しまでほとんど変わりがありません。ただ、予算が通れば「平成○年度一般会計予算可決!」などと一面の大見出しが変わるだけなのです。
 実は、悩みの種さんが一番神経を使うのが議会だよりで使う写真です。議長、副議長は別格として、他の議員が写った写真は大きさによって点数化し、任期を通じて公平が図られるようにしているのです。一般質問の記事の行数も各議員同じなら、写真も軽々には使えない…。議会だよりに魅力がないのは、しごく当たり前の結果といえそうです。

回答へのアプローチ

 悩みの種さんが置かれているこうした状況下で「魅せる広報」について勉強を重ねたとしても、できることとのギャップが深まるばかりでしょう。Bはとるべき選択肢にならないかもしれません。では、Cはどうでしょう。議会だよりは悩みの種さんの議会のように定例会後、年4回の発行としている議会が多いようです。全国市議会議長会の調査でもこのことが裏付けられます。定例会の速報として捉えると2か月程度の「遅れ」は致命的です。今やウェブサイト上に議会の情報があり、会議録検索が可能であることを考えると(こちらも更新が遅い議会が多いようですが…)、廃止すべきとの声が上がるのもうなずけます。
 ただ、「紙媒体だからできること」もあります。ネット環境に慣れていない高齢者などには紙媒体の方が便利なはずですし、一般の人にとっても自然に目に入るというよさがあります。議会審議の速報版としての役割は終えたとしても、議会と住民をつなぐツールとしての議会だよりの役割はまだまだ失われていないのではないでしょうか。
 しかし、「読まれなければしょうがない…」。ここで最初の問題に戻ってきました。これまで見てきたように、事務方ができることには限りがあります。ここは、「名前だけの編集」ではなく「実質的な編集」を議員に預け、議会だよりを生まれ変わらせることから始めてみてはどうでしょうか? ここではAを回答としたいと思います。

議会だよりの年間発行回数

この記事の著者

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