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2014.11.10 仕事術

データプレゼン入門 政策をつくる人のためのデータで伝える技術 第3回 データに説得力を持たせる8つのテクニック

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7 データを省略しない(時系列データの例)

 図6は日本人の血圧と食塩摂取量の推移を追ったものです。最初に5年おきのデータ、次に毎年のデータでそれを示しています。日本人は健康に配慮するようになった結果、血圧も食塩摂取量も長期的に低下傾向にあることが分かります。それと同時に、列島改造ブーム(1970年代前半)やバブル期(1980年代後半だけでなく、バブル崩壊後1990年代前半まで)といった日本人のテンションが上がっていた時期に血圧や食塩摂取量が一時的に上がったことがうかがえます。
 5年おきのデータでも、そうした動きは見て取ることができますが、中間の年次に何が起こっていたかが分からない分、結論には留保が付されます。データを省略せず、毎年のデータを示すことにより、ほぼ間違いないという実感がもたらされ、結論に説得力が付与されます。図に付加できたピーク年やボトム年のデータ数値も意義が高まります。

図6:日本人の血圧と食塩摂取の推移図6:日本人の血圧と食塩摂取の推移

 毎年データのグラフには、さらに、傾向線を点線で付加しています。この点線より上が、長期傾向からの上方変動、下が下方変動を示しています。こうした補助線を引くこともデータグラフの説得力を増すひとつの方法です。

8 年齢構成に影響されるデータは年齢との相関の下に示す

 医療や疾病に関するデータや社会保障データなど高齢化で大きな影響を受けるデータが増えています。こうしたデータを正しく判断するためには、国別比較や年次比較に際して、同じ年齢構成だとしたらどうなるかという年齢調整データに転換したり、高齢化率との相関図を描いたりする必要があります。
 ここでは、子ども(年少人口)の比率が関係するデータを取り上げてみましょう。
 図7は教育関係者によって非常によく引用されるデータです。学校教育費の対GDP比のOECD諸国における大きさを比較したグラフですが、日本が下から4番目と低い点が目立っています。先進国にもかかわらずこんなに教育費の支出割合が少なくては、日本の将来が危ぶまれると主張し、少人数学級実現のための予算確保に向けて引用される場合が多いようです。

図7:学校教育費の対GDP比(2009年)図7:学校教育費の対GDP比(2009年)

 一見もっともな主張ですが、日本の年齢別人口は子どもの少ない構造になっており、その分、子ども向けの支出が少なくなっていてもおかしくないかもしれません。これを判断するためには、子ども人口比率との相関図を作成するのが手っ取り早い方法です(図8)。

図8:教育費と年少人口の相関(2009年、OECD高所得国)図8:教育費と年少人口の相関(2009年、OECD高所得国)

 OECD加盟国でもメキシコなど途上国は事情が異なるので、OECD高所得国のみを取り上げていますが、教育費と子ども人口比率とは明らかに相関しています。また、日本は、多くの国の平均的な関係を示す一次回帰線の近くに位置しており、特段、教育費支出が少ないわけでもないようです。一次回帰線からの乖離の程度から、相対的に教育費が多い国としては韓国、少ない国としてはオーストラリア、アイルランドが目立っています。
 日本の教育費が少ない点についての説得力のあるグラフを作成するためには、こうした相関図でも日本の教育費が少ないことを示す必要があるといえるでしょう。

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