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2022.07.11

【PR】議員という仕事

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 2022年6月、『議員という仕事――リクルートOBのすごいまちづくり』が発行されました。
 近年、なり手不足が全国的に問題となっている「地方議員」。同書では、リクルート出身で地方議員経験の方がたが、なぜ議員を志したのか、何を志向しているのかを熱く語っています。以下、同書の「はじめに」より抜粋してお届けします。

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なぜ、地方政治の世界にリクルート出身者が増え続けるのか。

 私が考える理由は三つある。 一つめは、先ほどから申し上げているように業務領域での相性の良さだ。リクルート時代、自治体が解決すべき地域課題に対して、民間領域でその解決を図ろうとしてきており、その延長に自治 体議員が存在する。私の場合は「SUUMO」だったが、いかにしてその街の魅力を伝え、そのエリアで住宅が売れるようにするか、人を流入させることができるかということを、広告の営業という仕事を通じて日々考えさせられた。今はそれを政治というフィールドで解決しようとしているに過ぎない。 
 二つめは、社会課題の解決という事に対する意識がリクルート社員は非常に高いという点だ。リクルートでは常に社員から新規事業のプランを募集しているが、その条件は事業を通じて社会の課 題の解決につながるものであるかどうか、加えてその事業を通じて会社に利益をもたらすかどうか、 の二点だったように記憶している。ただ儲かればいいのではなく、社会課題の解決につながらないものに将来はないという考え方が根底にある。いうまでもないが、ただカネを稼ぎたいという人材は政治にはあまり向かない。リクルートには他社に比べて、カネよりも社会に役立つことをやりたい、おもしろいことをやりたいという人間が多いことも政界との相性の良さにつながっていると思う。 
 そして三つめ、実はこれが肝なのだが、議員に向いている人材が多いということだ。二つめの指向性とも似ているのだが、こちらは物理的に向いているという話だ。しばしば「どういう人材が議員に向いていますか?」「どんな人材をスカウトしたいですか?」と問われるが、私は常に「泥臭い営業が出来てタフ、それでいて頭もそこそこ使える人材がいい」と答えている。 

政治家の適性を定義するとき、二つのある種、二律背反する能力が求められる。 

 一つが本義である議会活動に資する能力。これは与えられた環境で最良のパフォーマンスを発揮できるという言い方もできるし、課題発見能力、課題解決能力とも置き換えられる。自分の頭でモノを考え、最適解を導き出せる能力を指す。ひと言でいえば頭が使えるかどうか、ということだ。 
問題はもう一つで、こちらは選挙に勝つというスキルだ。率直に言って選挙は頭でするというより、心と体でやるものだ。一日中、多くの人に会い朝から晩まで町中を飛び回るのは想像以上に気力と体力を消耗する。人の心に寄り添い、支持を増やしていく。 
 最近でこそネット選挙だ、空中戦だと言われているが、選挙の基本は人と人とのぶつかり合いに他ならない。これは、売るべき商品が自分に変わっただけで完全な営業だ。しかも、ドブ板選挙と 呼ばれるように戸別訪問が主力で、実に泥臭い営業になる。 
 今はやっているかどうか分からないが、私の在籍していた頃のリクルートでは新入社員に「名刺獲得キャンペーン」と称して一日中飛び込み営業をさせていた。なにせ1日100枚の名刺を配り歩いてこいという、過酷な営業ノルマを課していたのだから今思えばなかなか恐ろしい会社だった。 考えてみると、私が選挙に立候補すると決めてからは1日250軒のお宅を毎日訪問するというノ ルマを課していたのだから、基本的にリクルート時代とやっていることは変わらない。というより、 リクルートの営業そのものだった。リクルートの営業マンはそうした泥臭い営業に耐えられる強い メンタルとひたむきにやる才能を持っている人間が多い。これが議員に向いている最も大きな要因だ。 
 本稿にも登場する大津裕太・京都市議は私がスカウトしたひとりだが、私が主催する政治塾の懇 親会で「君、京都市議の補欠選挙に出ないか? ついては一週間以内に決断してくれ」と迫り、一 週間後には訳も分からず一日300軒の戸別訪問のノルマを無我夢中でこなしてくれていた。この決断力の速さと行動力こそが彼の持ち味であり、リクルートらしいと言えばリクルートらしい。 (ちなみに彼は東大寺学園から京都大学卒業と頭もいい)
 私の独断と偏見に過ぎないが、頭も使い、足も使う「コンサルティング営業」という職業が議員という職業との相性がとてもいいように思う。リクルートの営業マンはまさにドンピシャなのだが、 証券会社や保険会社の営業マンもその点においては向いているように思う。(実際、証券会社出身 の議員というのも意外と多い) 

→→試し読みはこちら

〔商品情報〕
タイトル:リクルートOBのすごいまちづくり 議員という仕事
発売日:2022年06月14日
著者/編集:かもめ地域創生研究所
出版社:CAPエンタテインメント
ページ数:212p

目次〕
はじめに   前京都市会議員 村山祥栄
大正大学客員教授

第1話 「支援を要する『人』がいるんじゃない。支援を要する『時』が誰にでもあるだけ」~不妊治療の経験が私を政治の道へと駆り立てるまで~
松本光博 杉並区議会議員 日本維新の会

第2話 生かされた命で区議として働く
〜あたり前に働き、子育てができる社会を創る〜
西村直子 品川区議会議員 自由民主党

第3話 大好きな地元に貢献するという生き方
~職業選択の一つとして地方議員はありです!~
浅山 誠一 田辺市議会議員 無所属

第4話 首都の議員とは何か
小松大祐 東京都議会議員 自由民主党

第5話 『地域政党』という選択!
〜新しい政治の形を創り出す〜
大津裕太 地域政党 京都党

第6話 リクルート流「徹底した顧客視点」で富山県から日本を変えられるか?
藤井 大輔 富山県議会議員 自由民主党

第7話 平成元年生まれ 経験ゼロからでも議員になれる
~1期生議員奮闘記~
井上 麻衣 福岡市議会議員 立憲民主党

第8話 子ども達が「将来、地元で働きたい!」と思える街へ
~地方の人口減少問題に向き合うキャリア教育アプローチ~
横内博之 四国中央市議会議員 自由民主党

第9話 ガラパゴス行政レポート
~ビジネスの常識を少しでも行政に ~
草野聖地 大津市議会議員 自由民主党

特別寄稿 「日本一前向きな市役所」をめざして
林・小野 有理 前四條畷市副市長

おわりに
かもめ地域創生研究所 研究員
障がい者ワークスデザインラボ株式会社 代表取締役
松野 豊

 

この記事の著者

かもめ地域創生研究所

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