2017.08.10 一般質問
第33回 一般質問の「一問一答方式」をどう改善するか?
議会事務局実務研究会 吉田利宏
お悩み(反問権反対さん 60代 町議会議員)
初めてお便りします。私の町議会でも昨年、一般質問に一問一答方式を取り入れる改革を行いました。町民には好評なのですが、慣れない身としては大変苦労しています。再質問を重ねると肝腎な質問の趣旨が町民に伝わらなくなってしまいます。また、時間がなくなって通告した事項すべてに触れられないこともありました。この前の定例会では、執行部から反問権を行使される場面も経験しました。その分、質問時間がなくなり、せっかくの一般質問にケチをつけられたようで不愉快でした。一般質問は、一括方式も選択することができるので、次回以降、一括方式に戻して質問しようと思うのですが、何か問題はないでしょうか。
回答案
A 一問一答方式のやり方を改善すべきところは改善すべきだが、議員自身もより効果的な質問ができるよう努力すべきだ。一問一答方式での一般質問を続けることが望ましい。
B 一括方式も選択可能であるなら、やりやすい一括方式で一般質問を行うべきである。
C 一問一答方式を導入することと反問権の行使を認めることは全く別なことである。議員のペースを乱すものであるなら、反問権の行使を認めるべきでなく、認められている間は一括方式での一般質問もやむを得ない。
お悩みへのアプローチ
どうやら「反問権反対さん」は一問一答方式にとまどっているようですね。お尋ねの文章からははっきりと分かりませんが、長年、「一括質問・一括答弁方式(一括方式)」に慣れてきたとしたら、それも無理はありません。
一般質問における一問一答方式の導入は、議会基本条例の制定に伴い全国的に増えてきました。議会基本条例に「一問一答の方式で行う」旨の規定を設けている場合も多いからでしょう。
〇栗山町議会基本条例
(町長等と議会及び議員の関係)
第5条 議会の本会議における議員と町長及び執行機関の職員(以下「町長等」という。)の質疑応答は、広く町政上の論点、争点を明確にするため、一問一答の方式で行う。
2 議長から本会議及び常任委員会、特別委員会への出席を要請された町長等は、議員の質問に対して議長又は委員長の許可を得て反問することができる。
一問一答方式は、これまでの一括方式に比べ、議員の質問と執行部の回答とのズレを生じにくくすることが期待されています。いわゆる「議論がかみ合う」ことが期待できるのです。その分、住民にとって、やりとりが分かりやすくなります。
妻「13日の夜はどこで何をしていたのよ! 全然、携帯にも出なかったじゃないの?」
夫「いや、ちょっと出れなくて」
なんて、曖昧な返答を許さないのが一問一答方式です。
「13日の夜はどこにいたの?」、「13日の夜は何をしていたの?」、「13日の夜はどうして携帯に出なかったの?」と一つひとつ質(ただ)していけば、何を曖昧にしようとしているのか、どのようなことが本当の問題なのか、はっきりとあぶり出すことができます。こうした意味で一括方式より優れているのが一問一答方式です。
分割方式という方法もあります。これは質問項目を大きく分けた上で、さらに一問一答方式で質問することです。夫が12日の夜も、13日の夜も携帯電話に出なかった場合に、「まずは12日の件について聞きたいんだけれど」として一問一答方式で質問を行い、「次は13日の件について尋ねさせてもらいます」とさらに一問一答方式で質問を行うイメージです。ある意味、整理された一問一答方式ということができます。
ただ、一問一答方式が万能かといえば、決してそうではありません。デメリットをひとつ挙げれば、論点ごとに「問いと答え」を繰り返すわけですから、時間がよりかかります。問いと答えの時間を合わせて一般質問の持ち時間とする場合(往復方式の場合)、一括方式の際に30分だったからといって、一問一答方式へ移行しても30分とすると、とても時間が足りなくなるはずです。また、問いと答えが対応できていないと一問一答方式は意味がありませんから、反問権として規定するかどうかは別にして、質問の内容を執行部側が確認する場面も生じるはずです。特に再質問以降、こうした問題が生じやすいのが一問一答方式です。