2017.03.27 議会事務局
第22回 「議員」じゃないけど「議会人」です、「議会事務局」
議会事務局実務研究会 大島俊也
自治体議員の皆様、こんにちは。第22回目の今回は年度末、人事異動が発表されて職員が入れ替わる「議会事務局」についてです。一番身近にいるのに実は分かっていないかもしれない、そんな疑問に答えてみたいと思います。
議員の名前や顔が分からない職員なんて、いないよね?

議会事務局長などの管理職ではいませんが、異動してきて間もない職員が議員全員の名前と顔を知っているとは思わないでください。そもそも執行機関の一般職員は議会を意識することはほぼなく、「定例会」などの議会用語も知りません。執行機関の職員が知っている議員は担当業務で関わった方くらいです。筆者が議会事務局に配属されたとき、最初に上司に命じられたのは「議員の名前と顔を覚えること」でした。毎日、議会だよりとにらめっこをし、事務室に議員が現れるたび、先輩職員から「あの人は誰?」とテストされました。電話をかけてきた議員が名乗らずに話し始め、「名前を聞かなきゃ。でも、聞いたら怒られそう」とハラハラしたものです。議員が自ら名乗ってくれたり名前を聞いても不機嫌にならずに教えてくれたりするとホッとしました。
ちなみに、よほど定数の多い議会でない限り、事務局で長年働いている職員は全議員の名前と顔を当然知っています。背後に迫ってくる足音を聞いただけで「あっ、○○議員が来た」と分かってしまったときには、自分が少し怖くなりました(笑)。
どんな議員が好かれるの?

議会事務局は執行機関の職員が一時的に配属されることから、与党系・多数会派の議員に優しく野党系・少数会派の議員に冷たいと思われがち。全ての職員の内心を一律に判断はできませんが、そんな差別意識を持つ職員はほとんどいません。ただ、事務局長レベルの管理職は首長に近い位置にいるためか、執行機関寄りになりがちな人もいるようです。
住民や議員同士の間でも、「いい人だな」と思われるかどうかは、政治姿勢よりもむしろ人間性によるのではないでしょうか。仕事を頼まれるときに「上から目線」で「やって当然」という態度をとられたり、話しかけたらぞんざいな対応をされたりすれば、誰であろうと悪い印象を持ちます。一方、丁寧な態度で接してくれると、多少難しい仕事でも「頑張ってみよう」という気持ちになるものです。会議に遅刻して悪びれる様子もなく悠然と現れたり、締切りを破っても何ともない顔をしていたりするのはNG。議員という立場上、職員が面と向かって文句を言うことはないかもしれませんが、好感は得られないでしょう。
余談ですが、「職場は議会事務局」だと言うと、他の人から「議員の相手って大変でしょう。どんな感じ?」などと質問されます。テレビ局に勤めていると芸能人の裏話を期待されるようなものでしょうか。良識ある職員は当たり障りないことしか言いませんが、様々な職員がいます。変な暴露話が流れないよう、気をつけておくに越したことはありません。
議会を開いていない会期外は何をしているの?

議員の皆さんと同じく議会事務局も、本会議や委員会がないときは暇だろうと思われがちです。最も忙しいのが会期中なのは確かですが、会期外でも多くの仕事があります。会期前であれば、想定される案件を洗い出し、それに伴う議会運営上の課題を把握して対応方法を検討することが必要です。法令に違反しないようにするのはもちろん、その自治体議会特有の慣習なども踏まえた対応をしっかり考えておかないと、事後に問題となることもあり得るので気が抜けません。会議録検索システムでは分からない昔の事例を調べるために、すっかり変色した古い紙の会議録をひたすらめくるという歴史家気分を筆者は何度も味わってきました。会期を終えた後であれば、議会ホームページの更新や、議会だより、本会議録、委員会記録の作成などを行います。これらは地味な作業ですが、正確、公平なものになるように神経を使う一方、時間をかけすぎてもいけないので結構大変です。
このほか、請願・陳情の受付、今後の視察先の候補となる場所の調査、他の自治体からの視察の受入れ対応、議員や他の自治体議会から依頼された調査の対応、議員報酬や政務活動費の支払、議長の日程調整や挨拶文の確認、議場や図書室の管理などをしています。