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2025.02.10 ICT活用・DX

第2回 議会DX「コストの見積り」

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元野々市市議会議員/議会BPRアドバイザー 五十川員申

DX導入が進まない理由──「学習コスト」の見落とし

 近年、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」という言葉が行政の現場でも注目を集めています。自治体議会においても、ペーパーレス化やオンライン会議システムの導入、議事録作成や資料整理の自動化ツールなど、デジタル技術を活用した業務改善の取組みが求められています。私自身、多くの議会でDX推進に関わる提案や意見交換を重ねてきましたが、実際にはなかなか取組みが進まない現状が見受けられます。その要因としては、現状維持バイアス──今までの方法や仕組みに固執して新たな手法に踏み出しづらい心理──が大きく作用している点はよく指摘されています。
 しかし、もう一つ見逃せない要素があります。それは、「導入コスト」、ここでは金銭面だけでなく、学習コストを含むあらゆるコストの見積りを誤っているケースが非常に多いという点です。DXの検討において、多くの方がまず思い浮かべるのは、ハードウェアやソフトウェアの調達費用、システム構築費用などの直接的な金額面でしょう。けれども、それ以上に組織内で問題となりがちなのは、「新しいツールや仕組みを使いこなすための学習コスト」です。
 たとえ非常に利便性の高いシステムであっても、導入当初は誰もが手探りの状態です。従来のやり方に慣れた職員にとって、新システムは使い方が分からない、操作に戸惑う、自分の業務にどう適用してよいか想像がつかない、といった不安要素が山積みになります。こうした「学習曲線を登る期間」は、現行の手順を維持していた方が簡単に思えてしまうため、導入そのものを諦めてしまったり、「やっぱり面倒くさい」という印象から取組みが始まらなかったりする原因となっています。
 DXの推進には、この学習コストを織込み済みとした計画が必要です。新しい手法を導入するときは、一定期間は不慣れで負担が増すこと、それが「山の頂上」まで登るようなものであることを、あらかじめ周知しておくべきです。そして、この期間を乗り切るためのサポート体制を整えることが重要になります。具体的には、導入後しばらくは担当者やサポート要員を配置したり、分かりやすいマニュアルやFAQを整備したり、定期的な勉強会やOJTを行ったりすることで、学習曲線をなだらかにする工夫が求められます。

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