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2025.01.27

第21回 休眠口座のお金を取り戻すことはできるか

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弁護士 尾畠弘典

Q休眠口座のお金を取り戻すことはできるか。

A

預金者は、原則として取引金融機関等に対して預金等の引出しを請求することができる。
 
1 休眠口座とは
 休眠口座とは、銀行等の金融機関に預け入れたまま10年を超えて取引上の動きがない状態になっている預貯金口座を指すと一般にいわれてる(なお、制定法上の定義はなされていない)。

2 預貯金の法的性質及び休眠口座の取扱い
 預貯金の法的性質は、預貯金者と金融機関の間の消費寄託契約(民法666条)であり、その払戻請求権は民法上の時効消滅制度の対象となる。
 従前の銀行実務では、一般社団法人全国銀行協会のガイドラインに従い、最終取引後10年が経過し預金者と連絡がとれない預金などについて、同協会に加盟する金融機関においては失効扱いとされていたが、休眠口座の払戻しをめぐるトラブルが平成10年代に社会問題化して以降は、同協会加盟の金融機関は、休眠口座についても預金者による払戻しの請求があれば原則としてこれに応じるようになった(なお、同協会非加盟の機関は個別対応となる)。

3 郵便貯金
 なお、郵便貯金については次のとおり、時期により旧郵便貯金法の規定が適用されることがあるため留意が必要である。
 平成19年9月30日以前に預けた定額郵便貯金、定期郵便貯金、積立郵便貯金については、満期後20年2か月を経過しても払戻しの請求等をしない場合は、旧郵便貯金法の規定により権利消滅し、払戻請求は認められない。
 平成19年9月30日以前に預けた通常郵便貯金、通常貯蓄貯金については、同日時点において、最後の取扱日から20年2か月を経過していない場合は、他の金融機関と同様、最後の取扱日(郵政民営化前に権利消滅となった通常郵便貯金及び通常貯蓄貯金を除き、同年10月1日以後に一度も取扱いがない場合は同日)から10年が経過した場合、休眠口座として預かり、払戻しの請求があれば支払われる。
 平成19年9月30日の時点において、最後の取扱日から20年2か月を経過している場合は、旧郵便貯金法の規定により権利消滅し、払戻請求は認められない。
 平成19年10月1日以後に預け入れた貯金については、他の金融機関と同様、最後の取扱日又は満期日から10年が経過した場合であっても、請求があれば払い戻される。

4 休眠預金等活用法
 休眠預金等(最終取引から10年以上取引がない預金等)を行政が対応困難な社会の諸課題の解決を図るために用いることを目的とする「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律」が、平成28年12月に公布され、平成30年に全面施行された。
 具体的には、普通・通常預貯金、定期預貯金、当座預貯金、別段預貯金、貯蓄預貯金、定期積金、相互掛金、金銭信託(元本補填のもの)、金融債(保護預りのもの)等が休眠預金等に該当する。一方、外貨預貯金、譲渡性預貯金、金融債(保護預りなし)、平成19年10月1日より前に郵便局に預けられた定額郵便貯金等、財形貯蓄、仕組預貯金、マル優口座等は対象外である。
 同法に基づき、平成21年1月1日以降に最終取引があった預金等が休眠預金等に該当した場合、当該休眠預金等に係る資金は、預金保険機構、JANPIA(指定活用団体)、資金配分団体を順次介して、民間公益活動に活用されることとなる。
 自身の休眠預金等が金融機関から預金保険機構に移管され、実際に民間公益活動に活用されてしまった場合であっても、預金者は、取引金融機関に対して預金等の引出しを請求することが可能である。なお、引出しに期限はなく、預金者はいつでも預金等を引き出すことができる。

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