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2017.01.25 議会事務局

第20回 予算審査で戦うために

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議会事務局実務研究会 大島俊也

 自治体議員の皆様、こんにちは。第20回目の今回は、ちょうど今、自治体議員の皆さんが準備を進めているであろう「予算審査」についてです。委員会室に入る前に何をしておくかを中心に、議会事務の枠から少し飛び出して話してみたいと思います。

そもそも執行機関は、どんな手順で予算案をつくるの?

女性

 ①予算編成の指示、②予算要求、③ヒアリング、④予算案の内示、が一般的な流れです。
 自治体により多少違いますが、9月頃に予算編成の指示があり、来年度の方針が首長から示されます。年度の半分を残した時期から予算積算作業に入るわけです。また、これ以前から積算に向けた検討をしておくのが理想ですが、多忙な職員は指示があってから急ごしらえで積算することも多く、状況分析や経費の積算を緻密にしていない例もあります。
 ヒアリングはおおむね11月から12月に行われ、「要求を削る・削らない」、「要求されていないが、予算をつける・つけない」という攻防が繰り広げられます。住民の声に応えようと要求した予算が否定されたり、財政状況を考えない安易な要求が否定されたり。担当部署が必要性を感じず反対していた施策に予算がつけられ、担当幹部は内心反対なのに立場上やむを得ず、いかにその施策が必要かを議会で答弁するといったことも起こり得ます。うまく攻めると、それぞれの答弁に齟齬(そご)が生じたり検討過程の甘さが浮かび上がったりします。
 翌年1月頃の内示がされれば、予算案は固まったようなもの。納得できない部署が最後の交渉に臨むこともありますが、ひっくり返すのは困難です。このため、予算案そのものに自分の要望をあらかじめ反映したい議員は、内示より早い段階のおおむね12月半ばまでに首長に予算要望書を提出します。この記事が公開される1月下旬はほぼ内示の時期ですから、今から動いても残念ながら時間切れです。あとは議会の場で堂々と議論を戦わせましょう。

質問するテーマで気をつけた方がいいことは?

男性

 まず、世間で取り上げられているタイムリーな話題は大事である一方、誰もが同じ質問をしがちなので自分らしさが出せないおそれもあります。いかに自分なりの主張をするか、他の議員が引き出せない答弁を引き出すかが腕の見せどころです。
 また、自身の支持者から「こんなことを言われた」と紹介する質問は、住民の声を代表する自治体議員として当然のことかもしれませんが、自治体には何万、何十万の住民がいることを忘れないでください。なぜ、その1人の声が大事なのか説明できなければ、説得力は弱くなります。ちなみに、勢い余ってその支持者の氏名などの個人情報を話してしまうと、逆に自分が責任を問われかねませんので、くれぐれも注意してください。
 そのほか、個別具体的な事業の是非や詳細を質問するだけでなく、所管を横断し、全体を俯瞰(ふかん)するような大所高所の視点からの質問もしたいところです。縦割りで近視眼的になりがちな執行機関の思考とは異なる切り口で、スケールの大きい、遠い将来も見据えた議論をするのも議会に求められていることではないでしょうか。

この記事の著者

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