2024.07.25
第17回 会社が倒産して給料がもらえなくなったときは、立替払してもらえないのか
弁護士 千葉貴仁
会社が倒産して給料がもらえなくなったときは、立替払してもらえないのか。
会社などの勤め先が倒産し、働いた分の給料がもらえなくなった場合、未払賃金を雇用主に代わって支払ってもらえる制度がある。
なお、当該制度は、法律上の倒産(破産、特別清算、民事再生、会社更生)のほか、事実上の倒産の場合でも利用できる。
1 制度の目的
昭和51年に制定された「賃金の支払の確保等に関する法律」では、制度の目的を次のとおり規定している。
第1条 この法律は、景気の変動、産業構造の変化その他の事情により企業経営が安定を欠くに至つた場合及び労働者が事業を退職する場合における賃金の支払等の適正化を図るため、貯蓄金の保全措置及び事業活動に著しい支障を生じたことにより賃金の支払を受けることが困難となつた労働者に対する保護措置その他賃金の支払の確保に関する措置を講じ、もつて労働者の生活の安定に資することを目的とする。
2 支払団体
独立行政法人労働者健康安全機構(johas。以下「機構」という)。平成28年に「独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備等に関する法律」(平成27年4月24日成立)により、現在の機構に統合。
3 対象者
労災保険の適用事業を1年以上続けてきた企業で働き、当該企業の破産手続開始の申立日の6か月前の日から2年間の期間(破産手続開始の申立て6か月前から同申立ての1年6か月後までの間)に退職した労働者(労働基準法9条の労働者に限られ、パート・アルバイト等も含む)。
4 賃金の範囲
機構が立替払する賃金は、基本給のほか、通勤手当、家族手当等毎月支払われていた分と退職手当。ボーナスは対象に含まれない。
なお、未払の定期賃金及び退職手当の中でも、退職日の6か月前の日から立替払請求の前日までの間に支払期限が到来しているものに限られる(賃金の支払の確保等に関する法律施行令4条)。