2016.05.25 政務活動費
第12回 生かすも殺すも自分次第? 政務活動費
議会事務局実務研究会 大島俊也
自治体議員の皆様、こんにちは。第12回目の今回は、一時期、何かとヤリ玉に挙げられていた政務活動費についてです。お金の問題はとても大事。自治体のお金の使い方を審査する自治体議員が、自ら公費を使う政務活動費の気になる疑問点を取り上げてみます。
政務活動費って、そもそも何ですか?

政務活動費とは、自治体議員の調査研究その他の活動のため、必要な経費の一部として交付されるお金のことです(地方自治法100条14項)。以前は「政務調査費(略称:政調費)」といわれていたものが、平成24年法改正によって「政務活動費」に変わり、略称は「政活費」となりました。議会内で「セイカツヒで出せる?」という会話がされていたら、「政務活動費で支出していい経費ですか?」という意味です。「生活費」と勘違いしないでくださいね。
冗談はさておき、政務活動費が以前の政務調査費と違う点は、それまでの政務調査費が「調査研究」のためだったのが、「調査研究その他の活動」とされたことです。「その他の活動」の例としては、陳情活動や市民相談活動のための経費が挙げられます。教科書的な説明はこんなものですが、実態としては、政務調査費が政務活動費に変わってもほとんど変化はありません。多くの自治体議会の政務活動費は必ずしも高額ではないので、従来の政務調査費が対象とする範囲内で使い切ってしまうことなどが理由のようです。
議会事務局が「いい」って言ったら、政務活動費で支払っていいの?

自治体議員の皆さんが一番聞きたいのは、「これって政務活動費で支払っていいの?」ではないでしょうか。この後に続くセリフが、「議会事務局が『いい』って言えばいいんだよね? 何かあったら議会事務局の責任だよね?」だと困りものです。
議会事務局は「いい」なんて簡単には言えません。議会事務局のチェックは支出に必要な領収書の添付がされているかなどの形式面が中心で、支出内容は是非が明らかなものしか指摘できないのです。法律上は、政務活動費の対象は「調査研究その他の活動」という抽象的なもので、それ以上は各自治体議会が条例や内規で定めることとなります。全国統一の具体的基準はなく、裁判例はあっても、それらは各自治体議会での条例の規定や運用の仕方などに結果が左右されます。裁判例などに基づき「これはマズイ」と指摘できることもありますが、同じような飲食費でも、支出できないとした判決もあれば、支出できるとした判決もあり、ケース・バイ・ケースです。
事務局が何と言おうと、政務活動費というお金を実際に使うのは議員自身です。自分が使ったお金の説明は自分でするもの。お見合いで結婚を決めるとき、どんなに周りにすすめられた相手でも、結婚してから、「こんなはずじゃなかった」と周りを責めるのは筋違いなのと似たようなものです。自分が自信を持って説明できるかで判断してください。