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2023.06.26 政務活動費

第7回 新聞の購入

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明治大学政治経済学部講師/株式会社廣瀬行政研究所代表取締役 廣瀬和彦

 政務活動費における資料購入費としての新聞については、多くの裁判における判決で案分を必要とせず、購入金額の全額を認める判断が下されている。  
 大阪地判平成30年4月27日においては、原告は、新聞は図書館に常備されており、さらにその購入費は公私の区別が困難であるから政務活動費からの支出は違法であると主張するが、裁判所は、新聞の購読は適時かつ迅速な調査研究活動等のために必要なものであり、会派や議員の事務所に新聞を備え置く必要性は高いことから、その購入費は、会派又は議員としての議会活動の基礎となる調査研究活動等に関する費用に当たると判示している。

【大阪地判平成30年4月27日】
 カ 新聞購入費(資料購入費)  
 原告らは、新聞は、図書館等に常備されており、購入の必要性がないし、私的な利用にも供されるものであり、その購入費は公私の区別が困難な費目であるから、新聞購入費に係る本件内規の定めは違法、不当である旨主張する。  
 しかしながら、適時かつ迅速な調査研究活動等のため、会派や議員の事務所に新聞を備え置く必要性は高いというべきであるから、その購入費は、会派又は議員としての議会活動の基礎となる調査研究活動等に関する費用に当たるというべきである。また、本件内規は、同一の新聞を複数購入することを認めていないこと等に照らすと、本件内規の定める新聞購入費の支出基準が、社会通念上、支出が相当であると認められる範囲を超えているものであるということはできない。  
 そうすると、新聞購入費に係る本件内規の定めが違法、不当であるということはできない。  
 したがって、原告らの前記主張は、採用することができない。

 広島高岡山支判平成29年3月30日では、新聞は、日々変化する政治・経済等社会の情勢について最新の情報が記載されており、情報を簡易、迅速かつ広範囲に収集する有効な手段であることから、新聞を購読することは、社会情勢や世論を市政に反映させるのに有益であるといえるし、この新聞の利点に鑑みれば、会派控室のみならず、その他の議員事務所や自宅で新聞を購読することも、議員としての市政に関する調査研究に密接に関係するものといえ、新聞購入に係る支出については、調査研究活動のための支出として合理性を欠くと認められるような事情がない限り、資料購入費として許されるとして購入を認めている。  
 さらに、新聞代金を案分すべきかどうかについては、新聞を購読することが議員の議会活動の基礎となる調査研究と合理的関連性を欠くということはできず、その全額について、使途基準に適合しないということはできないとし、政務活動費からの全額充当を認めている。

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