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2023.01.25 条例

第87回 個人情報保護法改正に伴う議会における個人情報保護条例の制定について

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明治大学政治経済学部講師/株式会社地方議会総合研究所代表取締役 廣瀬和彦

個人情報保護法改正に伴う議会における個人情報保護条例の制定について

Q令和3年に改正された個人情報の保護に関する法律(以下「新個人情報保護法」という)のうち、デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律51条による改正に係る部分(地方関係)の施行期日が令和5年4月1日からとなっているが、これに伴い地方議会において何らかの措置が必要となるのか。

A

1 新個人情報保護法の成立背景と概要  
 令和3年におけるデジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案の中で、新個人情報保護法を改正する形で必要な規定が盛り込まれ、令和3年5月12日に成立した。  
 新個人情報保護法成立の背景には、①新たにデジタル庁が創設され、国や地方のデジタル業務改革を強力に推進していく方針となっているが、これに伴う公的部門で取り扱うデータの質的・量的な増大が不可避であることから、個人情報等の適正な取扱いに万全を期すため、独立規制機関である個人情報保護委員会が公的部門を含め一元的に監視監督する体制の確立が必要であること、②デジタル社会の進展や個人情報の有用性の高まりを背景として、官民や地域の枠を超えたデータ利活用が活発化していることから、データ利活用の支障となりうる現行法制の不均衡・不整合を是正する必要があること、③国境を越えたデータ流通の増加を踏まえGDPR十分性認定への対応をはじめとする国際的な制度調和を図る必要性が一層向上していること、が挙げられる。  
 そして、それらの背景を踏まえ個人情報保護制度が見直され、新個人情報保護法において、①個人情報保護法、行政機関個人情報保護法、独立行政法人等個人情報保護法の3本の法律を1本の法律に統合し、さらに地方公共団体の個人情報保護制度についても統合後の法律において全国的な共通ルールを規定し、全体の所管を個人情報保護委員会に一元化された、②医療分野・学術分野の規制を統一するため、国公立の病院、大学等には原則として民間の病院、大学等と同等の規律を適用した、③学術研究分野を含めたGDPRの十分性認定への対応を目指し、学術研究に係る適用除外規定について一律の適用除外ではなく義務ごとの例外規定として精緻化した、④個人情報の定義等を国・民間・地方で統一するとともに、行政機関等で匿名加工情報の取扱いに関する規律を明確化した、ことが見直しの全体像である。  
 また、地方公共団体の新個人情報保護法における制度の概要については、主に次の七つが挙げられる。
 ① 新個人情報保護法の適用対象として、地方公共団体の機関及び地方独立行政法人が対象となり、国と同じ規律が適用されること。病院、診療所及び大学には民間部門と同じ規律が適用されること。
 ② 地方公共団体における個人情報の定義について国・民間部門と同じ規律を適用し、定義の一元化が図られたこと。
 ③ 個人情報の取扱いについて地方公共団体も国と同じ規律が適用されること。
 ④ 個人情報ファイル簿の作成・公表について地方公共団体も国と同じ規律が適用されること。
 ⑤ 地方公共団体における開示等の請求権や要件、手続は主要な部分を法律で規定されること。
 ⑥ 匿名加工情報の提供制度について地方公共団体も国と同じ規律が適用されること。
 ⑦ 個人情報保護委員会は、地方公共団体における個人情報の取扱い等に関し、国の行政機関に対する監視に準じた措置を行うこと。また地方公共団体は、個人情報の取扱いに関し、個人情報保護委員会に対し、必要な情報の提供又は助言を求めることが可能となったこと。

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