2022.06.27 政務活動費
第4回 政務活動費による研修費の支出
明治大学政治経済学部講師/株式会社地方議会総合研究所代表取締役 廣瀬和彦
1 政党が主催した講座への支出の是非
政務活動費における研修費は、会派又は議員が研修会を開催するために必要な経費、団体等が開催する研修会の参加に要する経費である。
ここで、どのような団体、どのような趣旨で開催された研修会に対して政務活動費を支出することができるか疑義が生じる。
まず問題となるのは、政党が主催するセミナー等である。政党が主催する場合、その活動は政党活動であると推認されることが多く、政党活動は政務活動に含まれないことから、支出に否定的な見解がある。
しかし東京高判2020年6月25日でも示されているとおり、政党支部等が主催者として開催されていても、その対象が政党に所属するものなど特定のものに対するものではなく、その内容も政党を支援したりその主義・主張を学ぶなどのものではなく、一般的な社会情勢等を学ぶことができるものであれば、政党活動と判断することなく、政務活動による研修と位置付け、支出することは可能であると考える。
【東京高判令和2年6月25日】
自由民主党A支部連合会が主催した講座名に付されている「A末来塾」……につき、同塾のHPをプリントアウトした書証を提出し、これによれば、とちぎ未来塾は、入塾資格を、全ての講座、全日程に参加できる、A県在住又は通勤、通学者であること、自民党籍を有する又は入党できる者であること及び満18歳以上55歳以下の日本国籍を有する者であることと定める政党主催の政治塾であり、毎月、国会議員等による社会情勢に関する講義を開催していることが認められる。これらの講演内容は、いずれも、参加人自民政務調査要綱の記載に含まれるものであるから、参加人自民の政党活動等ではなく、政務調査研究活動に関連するものということができる。