2020.11.25 広報広聴
第2回 広聴活動の現状分析と新たな政策構築の手法の提案 ──岩手県北上市の事例
社会情報大学院大学 宮本玲子
1 はじめに
筆者は、今年4月、社会情報大学院大学(新宿区)に入学し、広報・情報に関する専門的分野の研究を行っています。と同時に社会人でもあり、マーケティングの分野に十数年以上携わっています。前期に開講された科目「公共コミュニケーション」では、自治体と民間企業の広報に関する考え方の違いなどを学びながら、マーケティングの手法を取り入れた分析を展開し、岩手県北上市に政策提言しました。
2 本稿の内容について
前回(第1回「地方自治体における広報と広聴の現状」)は、公共コミュニケーションと自治体コミュニケーションの定義を示しました。その中で本連載は、自治体コミュニケーションに焦点を当て進めています。自治体コミュニケーションとは「地方自治体と利害関係者との政策(戦略)に関するコミュニケーション(広報・広聴)活動」と仮に定義します。
筆者が既存の条例や議会での質問等を確認すると、広報は活発ですが、広聴はやや弱いことが見受けられました。実際の現場では広報誌の発行やSNSの活用など、広報を活発に実施されている姿勢は見受けられますが、広聴は少し弱いようです。広報と広聴の両輪がなくては、自治体コミュニケーションは成立しません。
本稿は、前回を受けて、筆者が「公共コミュニケーション」の授業で北上市の広聴活動に関し実施した政策提言の内容及び手法について紹介します。北上市の広聴活動を分析する視点は、読者が所属する団体の広聴活動、あるいは政策づくりに貢献すると考えます。