2019.11.25 議員提案条例
第2回 議員提案条例を活用しよう!─行政監視型条例の意義と活用─
関東学院大学法学部地域創生学科教授 津軽石昭彦
1 二元代表制・新時代
我が国の地方政治・行政の仕組みを、国の政治・行政の仕組みと比較対照して、国が議院内閣制であるのに対して、地方は「二元代表制」あるいは「大統領制」と表現されることがよくある。もっとも、「大統領制」については、アメリカ合衆国における連邦議会のように、予算編成や法案作成等について、行政府(大統領)から独立性の高い権限を付与されているのとは異なり、我が国の地方政府の実態は、実際の「大統領制」には程遠い感がある(1)。
確かに、首長の役割について、地方自治法(以下「自治法」という)上、地域経営の代表者として、地域の行政事務を執行する大きな権限が与えられている。一方、個々の議員としては、首長のような明確な法的位置付けはなされていないが、議会総体とすると、自治体の意思を最終的に決定し(意思決定機能)、首長の行政執行を監視し(行政監視機能)、議員提案条例の制定等により政策を立案する(政策立案機能)などの権能が付与されており、地域経営の一翼を担う権限を有している。
このような議会を構成する議員も、首長と同じように、住民の選挙により選出されている住民の代表であるという意味では「二元代表」であり、首長と法的には対等な位置付けである。
これまで、二元代表制については、制度としての説明は様々な形で行われ、住民や自治体職員の間で一定の理解は進んではきている。しかし、実際は首長の権力があまりに大きく、議会の存在が希薄になり、議会不要論さえ一部には唱えられている。特に住民の側からみて、二元代表制にどのようなメリットがあるか、そのメリットをどのように活用できるかということについては、これまであまり意識されてこなかった。
分権改革から20年を迎える今、改めて二元代表制の持つ新たな意義を見いだす時期に来ているのではないだろうか。
その意味では、二元代表制の再評価、新しい活用のあり方が求められよう。