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座談会 政策ビラ解禁をふりかえる

2019.07.25 文書図画

座談会 政策ビラ解禁をふりかえる(下)

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 2019年4月の統一地方選挙から政策ビラが解禁され、政策型選挙のためのツールが充実しました。『議員NAVI』では選挙直前に座談会を開催し、ビラ活用のアイデアや期待などをお話し頂きましたが(2019年2月「座談会 政策ビラをどう作る?」)、地方選を経て、候補者の皆さんが実際にどのように政策ビラを活用されたか、よかった点や悪かった点、今後に向けた改善点など、ざっくばらんに改めてお話をいただきました。2019/7/10掲載の(上)編に続き、今回は(下)編をお届けします。今後の選挙戦での政策ビラの更なる活用に役立てていただければと思います。(編集部)
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2019年4月の統一地方選挙から解禁された政策ビラ

<(上)目次>
■政策ビラは、実際どう使われたか
■「4,000枚」をどう使うのか
■政策ビラへの住民の反応はどうだったか
■政策ビラの中身の工夫
■新しい制度への戸惑いも?
■昔ながらの選挙戦が変わってきた?

<(下)目次>
■新聞折込における工夫とは
■有権者はどう見ていたのか
■政策ビラの意義は有権者に伝わったか
■最後に

新聞折込における工夫とは

佐藤 政策ビラを新聞折込するにあたって、「誰に届けたいのか、どの新聞が自分の政治的なスタンス等に合うか、どんなデザインとすべきなのか」など、色々チーム内で検討しました。
 若い世代は新聞を購読していないという調査結果もあり、折込だけでは全世代に政策を届けられないという心配もありましたが、今回の折込ではその点は割り切ることとし、字を読む、比較的年配の市民を対象とすることにしました。
 チームの中には、字を読む人は少ないと主張するメンバーや読む人は読むよというメンバーもいて、議論のせめぎあいはありました。最終的には、文字を読むことに慣れている読者が多いだろうという考えから、日本経済新聞を選びました。
 政策ビラは、表面は新聞風、裏面は雑誌風のカチッとしたイメージで、ビラの文字は多くていいと判断し、デザインしてもらいました。
政策ビラの表面は新聞風デザイン

政策ビラの表面は新聞風デザイン

全員 健康食品の広告みたいにも見えるね(笑)。反応はありましたか。

佐藤 新聞折込の効果の検証は難しいですが、70代の自治会長さんに、「新聞にビラが入っていたね!字は細かかったけど読んだよ」って言ってもらえたのが印象的でした。ある程度ターゲットを絞った結果、受け取ってもらえたという実感はあります。
でも、4,000枚というのは、大手紙ならば1つの専売所だけで捌けてしまう数です。私のように市全域に対して政策を訴えたいという候補者にとっては、4,000枚という数では正直少ないです。

川名 確かに少ないですよね。ただ、一方で「自分の存在や政策がある程度浸透しているところに政策ビラを配る必要はあるのか」という議論もあります。

佐藤 それは一理ありますね。「自分が普段回り切れていない地域に折込をしたら効果的ではないか」という議論もしましたよ。

田中 政策ビラの新聞折込をどれくらいの候補者が利用したのか、統計があるといいように思います。実は私の地域には、普段から新聞折込をする文化がありません。だから今後の自分の選挙でも積極的にやらない・やりづらいようにも思います。
政策ビラの新聞折込をどれくらいの候補者が利用したのか、統計があるとよいのではとする田中氏

政策ビラの新聞折込をどれくらいの候補者が利用したのか、統計があるとよいのではとする田中氏

佐藤 私の自治体でも普段は折込を行う人はいないですよ。でも、4,000枚を手渡しするというのは現実的に難しいと考え、そうであれば折込を活用するほかないと判断しました。

田中 東村山市では他の候補者も新聞折込を利用されていましたか。

佐藤 市内には7万世帯あって、そのうちの4,000部だから自分の家に来る確率も低いし…正直なところ分からないです。

川名 私の地域はマンションが多くてポスティングができないから、選挙以外でも日ごろから新聞折込を利用される方が結構多いですよ。

田中 地域性は大きいですよね。私の自治体で選挙となれば、政策ビラを手配りする派が大多数となるように思います。

川名 選挙のテクニック的な話になってしまいますが、新聞折込は、水曜日に入れるのが良いと思っていました。しかし、今回の有権者の反応や行動をみていると、もしかしたら土曜日に折込をした方がよかったかなという気がしてきました。
 というのは、水曜日に新聞折込を見て決める人は、その時点でもう投票先を決めているんですね。そうではなく、ギリギリまで悩んで、最後に投票所で選挙ポスターを見て決める人、そんな方たちは、土曜日に情報が欲しいんですよ。だから、政策ビラの新聞折込を土曜日にすれば、最後までどうしようかと悩んでいる方の決定打にできたかもしれません。

青木 以前、マニフェスト研究所で有権者は投票先をいつ決めるのかという調査をしました。投票日当日に投票先を決める人も結構います。川名さんがおっしゃるように、有権者が投票したいと考えるタイミングを考慮して、それに合わせて政策ビラを届けるという作戦はありだと思います。

川名 今回は結果としてそこまで気が回りませんでした。政策ビラを配る側と、もらう側の意識が違ったかなと思いますね。
政策ビラを配る側と、もらう側の意識を考慮することが大事と議論する川名氏と青木氏

政策ビラを配る側と、もらう側の意識を考慮することが大事と議論する川名氏と青木氏

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